
「チームが全力を尽くして戦うなら支えるだけだ」
マーベリックスのオーナーを長年務めたマーク・キューバンが、ギルバート・アリーナスとジョサイア・ジョンソンがホストを務める『Gil’s Arena』に出演。ルカ・ドンチッチのトレードについて今の心境を明かした。
キューバンは昨年オフにマブスの筆頭株主の座を降り、現在は少数株主となっている。クラブ運営に意見は出せるが、最終決定権はない。彼は2000年に、当時急成長していたIT企業の経営者としてマブスを買収し、そのノウハウをクラブに注入した。その役割を終えた今、彼は一歩引いたスタンスでマブスにかかわっている。
ドンチッチのトレードが決まった当時、「事前に相談されていれば何が何でも阻止した」と強い口調で語っていたキューバンだが、今はトーンダウンして「仕方がなかったことだ」と語る。
「今もルカとはテキストメッセージで、以前と変わらず他愛もないやり取りをしているよ。親友とは言えないかもしれないが、コミュニケーションはこれまでと変わらず取っている」
それでも、キューバンはあくまでマブス側だ。「バスケをやっていない時のルカは大好きだが、コート上では負けてほしい。ケガをしてほしいわけじゃない。レイカーズは嫌いだから、ルカが活躍してチームが負けるのが理想なんだ。ジーニー・バス(レイカーズのオーナー)ともロブ・ペリンカGMとも仲は良いが、勝負となれば別だ。ルカがトレードされた後、レイカーズの試合を息子と一緒に見に行った。ロブが挨拶に来てくれたが、ニヤニヤしながら『どんな気分だい?』と言われたんだ。憎たらしいだろう?(笑)」
キューバンはあのトレードを肯定しない。だが、起きてしまったことは受け入れ、マブスを応援する立場を明確に取っている。ドンチッチ放出を決めたニコ・ハリソンGMはファンの憎悪の対象となっているが、その彼にもキューバンは理解を示す。
「映画館に行ってもマブスファンから『ニコをクビにしてくれ』と言われるんだ。映画に集中できないから勘弁してほしいよ(笑)。ファンの信頼を取り戻すには時間と勝利が必要だ。私もスティーブ・ナッシュを放出した時には滅茶苦茶に批判されたものだが、2年後にNBAファイナルに進出すると人々は怒りを忘れた。そういうものなんだ」
「だから今の私がどんな言葉でニコを擁護しても意味はない。我々はクーパー・フラッグを指名する幸運に恵まれた。彼がチームをファイナルに導いてくれることを願うよ。そうなればファンはまたチームを支持してくれる。批判的なファンは必ずいるし、24時間SNSを見張って飛び掛かるタイミングをうかがっているような人は変えられない。それ以外のファンに対しては、感情を尊重し、なぜ怒っているのかを理解しなければいけない。私もルカのトレードには動揺した。だけど、今もマブスを応援している。チームが全力を尽くして戦うなら支えるだけだ。クーパーが違いを生み出してくれることを願っているよ」