青森ワッツの中心選手として活躍していた池田祐一は、今オフに越谷アルファーズへ移籍する決断をした。B2時代に「リーグ最強ガード」と評された池田は、すでに越谷での役割やスタンスが見え始めている。新しい舞台に挑む池田に移籍の胸中や新シーズンに向けての展望を聞いた。

「今までやってきたことをどれだけ発揮できるか」

──青森から埼玉へ引っ越してきて1カ月ほど経ったかと思います。生活には慣れましたか?

めちゃくちゃ暑いですね。ただ、住みやすいですね。レイクタウン(大型ショッピングモール)も近いですし、お店はたくさんあるので困らなそうです(笑)。

──青森で愛されている選手だったので、離れるさみしさもあったかなと想像しています。

そこまで愛されている実感はなかったのですが、移籍が決まってから反応がすごくあって驚きました。外を出るのをちょっと控えようかなと思うくらいに(笑)。お世話になった場所を訪れるたびにあたたかいお言葉をたくさんいただいたので、最後の最後に「愛されていたんだな」とかなり実感しましたね。

──以前からB1でプレーしたいという気持ちを持っていましたか?

いや、具体的には考えていなかったです。地元が沖縄で、昔から琉球ゴールデンキングスを見ていたこともあり、ぼんやりと「ゆくゆくはB1の舞台で」という気持ちはありましたが、それよりも一歩一歩、毎年突き進んでいこうという意識のほうが強かったです。今になって徐々に現実味が帯びてきたなという感じです。

──練習生からプロキャリアをスタートさせ、青森を2年連続プレーオフ進出に導き、個人としてはアシスト王に2シーズン連続で輝きました。常に逆境を乗り越えてきたイメージがありますが、また新しい挑戦になりますね。

B1でプレーするのは自分にとってもチャレンジですし、越谷もこれからチャレンジをしていくチームです。そういう部分も重なって、縁があったのかなと思います。チャンピオンシップ出場を狙っていきますが、チームに足りていないことや弱い部分をどうやって底上げしていくか考え、自分が力になれることを模索しながら今はやっています。

──チーム練習の様子を見ると雰囲気も良く、すでに溶け込んでいる印象です。

今はまだ全員が練習に参加していませんが、まずはみんなでコミュニケーションをとっていこうと話しています。選手が半分以上入れ替わったので、まだ手探りなことが多い感じですね。

──青森時代はチームの絶対的な中心としてプレーしていましたが、越谷では初めてのB1ということもあり、役割が変わってくると思います。

役割も変わると思いますし、細かいところをどれだけ徹底できるかがB1の舞台では必要になってきます。越谷にはそこを大切にしているコーチが揃っているので、その上で今まで自分がやってきたことをどれだけ発揮できるかが重要です。でも、役割が変わっても自分がやることは変わらないかなと。青森ではコーチやまわりの選手の手助けもあって、良い意味で好き勝手にやらせてもらっていたので、もう少しバランスとってやっていければと思います。

池田祐一

「走る流れを作り出すことに貢献できる」

──「自分がやってきたこと」と出ましたが、池田選手が越谷で貢献できると感じていることはなんでしょうか?

明確に見えているのは、速いテンポでシュートメークして、ポゼッションを増やすことですね。トランジションバスケをずっとやってきたので、走る流れを作り出すことに貢献できるかなと。ハーフコートでガッチリやるバスケットも楽しいですが、リバウンドから素早くオフェンスに切り替えて生まれるプレーがバスケットの醍醐味だと思っています。あとは、リングにアタックしながらディフェンスを引き付けてのパスだったり、もちろん自分がフィニッシュしたり、強気なプレーから駆け引きを楽しめるといいかなと。

──2年連続アシスト王というところに目が行きがちですが、昨シーズンは日本人選手では3位となる12.8得点を挙げました。やはり得点の意識は重要ですよね。

B1とB2とではレベルが違うので簡単にはいかないかもしれませんが、アタックしないとディフェンスは寄らないし、寄ったらパスを出すというのをやっていきたいですね。B1のビッグマンは速くて強くて、しかもブロックショットを合わせてくると思います。さらに自分のマークマンのディフェンスレベルも上がるのは間違いないので、しっかりと身体を寄せてぶつけて、スペースを作ってシュートやパスをしていかないといけません。

──実際、越谷の練習の中で意識していることに手応えを感じていますか?

まだ5対5をやっていないので分からないことも多いです。ただ『Bリーグユナイテッド(Bリーグ選抜)』の時もそうでしたが、続けて試合をやると慣れることも多いんですよ。プレシーズンゲームも多く組まれているので、どれだけ自分の自信にできるのか、逆に壁にぶち当たるのか、そこで確認できるかなと思っています。

──青森の時は、鬼気迫る強気なプレーでチームを引っ張っていましたが、越谷での立ち位置はどのようにイメージしていますか?

最近、車を買ったので車で例えると、エンジンみたいな感じですかね。僕がコートに立てば、他の4人が同じ闘争心を持ってプレーできる感覚を持ってもらえればいいかなと思っています。そのくらいエネルギーを使って、プレーしないといけないと自分では思っています。フワッとしちゃいましたか? エンジンはちょっと言い過ぎちゃったかもしれません(笑)。

──いえ、エンジンでいいと思いますよ(笑)。

言葉も大事だと思いますが、やっぱり一番は自分のプレーでまわりの士気を上げるのが好きです。Bリーグユナイテッドの時も、僕が点を取らなくてもチームを動かすエネルギーになって、10点以上のビハインドを同点まで持っていく流れを作れました。そういうプレーができたらいいですね。