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プレーオフ準決勝、ロケッツはスパーズと対戦

西カンファレンス3位でレギュラーシーズンを終えたロケッツは、プレーオフ1回戦でサンダーを4勝1敗で下し、カンファレンス準決勝に勝ち進んだ。

シーズンMVP候補のジェームズ・ハーデンがチームの中心であることは言うまでもない。だが、今シーズンのロケッツ躍進の要因の一つは、ハーデンを支える4人のシューターにある。インサイドでもアウトサイドからでも点が取れるハーデンは、今シーズンから指揮官マイク・ダントーニに見いだされ、ポイントガードという新境地を開拓。ゲームメークのセンスが磨かれ、レギュラーシーズンでキャリアハイの平均11.2アシストを記録し、自身初のアシスト王にも輝いた。

だが、ハーデンがいくら良いパスを出しても、得点につながらなければ意味はない。ライアン・アンダーソン、トレバー・アリーザ、ルー・ウィリアムズ、エリック・ゴードンの『四銃士』が、インサイドに切り込むハーデンからのキックアウトから高い確率でシュートを決めることで、結果的にハーデンのペネトレイトがさらに効力を発揮した。

中でもハーデンが信頼を寄せるのが、ロケッツでの1年目にキャリア最多の3ポイントシュート成功数(246)を記録したゴードンだ。その彼が、ハーデンとアリーザから勧誘された時のエピソードを『The Players Tribune』に寄稿した文章の中で明かしている。

ゴードンによれば、ペリカンズからフリーエージェントとなる前の昨年の6月、ハーデンから電話がかかってきた。2人は高校時代からの友人なのだが、電話では友人関係は一切抜きのビジネストークが行われたという。以下、ゴードンの寄稿を引用する。

勧誘は友人関係抜きのビジネスライクな話に終始

「俺とジェームズは、2007年の『マクドナルド・オール・アメリカン』(全米高校選抜)に出場したときからの仲だ。最初は、ジェームズが平日の午後に電話してくる理由が分からなかった。電話を取ると、こちらが言葉を発する前に、彼が『ウチと契約する気があるのか』と聞いてきた」

ゴードンは続ける。

「彼から『よう、元気か?』みたいな挨拶はなかった。すべてビジネスに関する話のみだった。彼との電話を切った直後、今度はトレバー・アリーザから電話がかかってきた。彼からもまた、『ウチと契約するのか? どうなんだ?』といきなり聞かれた。あの勧誘は入念に準備されたもので、彼らがダラダラと話をする気がないのが伝わってきた」

その後もハーデンとアリーザからの電話は連日のように続き、「プレーオフ進出」、「優勝」という言葉でゴードンを誘った。ハーデンは「お前が来ればウチのオフェンスは誰にも止められない。歴史的な数字を残せる。ロケッツのオフェンスは常にオープンな選手にボールを回すから、きっとプレーして楽しいと思うはずだ」とラブコールを送り続け、ゴードンは7月にロケッツ移籍を決断。ハーデンの誘い文句通り、今シーズンのロケッツは昨年12月16日のペリカンズ戦でNBA史上最多24本の3ポイントシュートを決め、年間3ポイントシュート成功数でもNBA新記録の1181本をマークした。

ゴードンもレギュラーシーズン後半からシックスマンに固定され、ベンチからの貴重な得点源としてチームを支えている。プレーオフ準決勝の相手はスパーズ。決勝に進めば、その相手はウォリアーズだろう。難しい戦いではあるが、刺激に事欠かないことも確か。ハーデンとゴードンの挑戦はまだまだ続く。