ドラフトで指名されず2ウェイ契約からの『叩き上げ』
ナズ・リードは2019-20シーズンのデビュー以来、6年のNBAキャリアすべてを過ごすティンバーウルブズへの残留を決めた。2023年から始まる3年4200万ドル(約63億円)の契約最終年を破棄し、新たに5年1億2500万ドル(約190億円)の長期契約を結んだ。
ルイジアナ州立大から2019年のNBAドラフトにエントリーするも指名を受けられなかった彼に、2ウェイ契約を提示したのがウルブズだった。最初に得られた通常契約は4年610万ドル(約9億円)で、そこからコート上で結果を残すとともに昇給を勝ち取っている。
当初はウイングとしては動きが重く、センターとしてはサイズ不足と見られて評価が上がらなかったリードだが、減量するとともに瞬発力を高める『NBA仕様』の身体改造でキレが増し、205cmでも当たり負けしないパワーでサイズ不足を補った。
身体能力を生かしたプレーが目立つが、ハンドリングやシュートの技術も高く、何よりチームバスケットを理解しながら試合展開に応じて自分の武器を使い分けられる。その器用さが2023-24シーズンのシックスマン賞に繋がり、チームが2シーズン連続でカンファレンスファイナル進出を果たす上で、リードがもたらす攻守のエネルギーと選手層の厚みはなくてはならないものだった。
シーズン終了時点での彼は「自分は先発で起用されるべきだ」と語り、ルディ・ゴベアとジュリアス・ランドルが絶対的な先発であるウルブズを離れる可能性を示唆していたが、チーム生え抜きで地元への愛着も強く、ファンからの熱烈な支持もあり、納得のいくオファーが提示された以上、それを蹴ってまで移籍を強行するつもりはなかったようだ。
エースのアンソニー・エドワーズは23歳で、25歳のリードとはタイムラインが合う。新契約1年目の来シーズンの年俸は2200万ドル(約33億円)とされており、リードほどの実績と安定感からすれば『お手頃』だ。昨夏にカール・アンソニー・タウンズ放出という厳しい決断をしなければならなかった分、今オフはセカンドエプロンを超えることなくロスターを組むことが比較的容易となっている。
NBAドラフトでのウルブズは、17位でフランス人のヨアン・ベランジェ、45位でオーストラリア人のロッコ・ジカースキーとセンター2枚を指名。33歳のゴベアと30歳のランドルが健在なうちに彼らが戦力になれば、その時はリードを軸とするフロントコートがウルブズの大きな強みになるはずだ。