上位指名権を持つチームのワークアウトを断るも……
ラトガー大のエース・ベイリーは、NBAドラフトを前に不可解な行動を取った。トップ3での指名を受けられるポテンシャルを持ちながら、3位指名権を持つセブンティシクサーズのワークアウトの招待を断り、他のチームのワークアウトにも参加しなかった。
どのチームも自分たちの練習施設に指名候補選手を招き、そのプレーとともに性格や人間性も確認する。このプロセスを飛ばしての指名は、多くのチームが嫌がるものだ。選手からしても格好のアピールの場であり、招待を断ることは普通は考えられない。指名順位が高ければそれだけ高い年俸に繋がり、それは今後のキャリアに大きく影響する。それを犠牲にして彼が得たかったのは、意中の球団に指名されることだろう。
恵まれた体格と高い身体能力を持ちながら、プレー判断に難があるとされるウイングの彼は、1年目から自分にチャンスを与えてくれるチームを希望していたのだろう。シクサーズに指名されれば、ポール・ジョージがいる限り彼は2番手に甘んじることになる。4位指名権を持つホーネッツ、5位指名権を持つジャズも彼の好みではなく、6位から8位指名権を持つウィザーズ、ペリカンズ、ネッツを希望していたと噂される。
シクサーズはベイリーを回避してVJ・エッジコムを指名した。ホーネッツはもともとコン・クヌップルの指名を決めていたとされる。それでもジャズは5位指名でベイリーを選択した。ソルトレイクシティでのワークアウトは行っていないが、ジャズのチーム編成を取り仕切るバスケットボール部門CEOのダニー・エインジは「ドラフトコンバインで面談している」と問題視していなかった。
ジャズのオーナー、ライアン・スミスもこう発言している。「我々の哲学は、その時に手に入る最高の選手を選ぶこと。彼と話したが、謙虚で感謝の気持ちを持ち、NBAでの挑戦を始めることに興奮していた。我々の立場からすれば、それ以上に望むものはない」
ドラフトを前にしたベイリーの行動は周囲を困惑させた。ジャズへの入団を希望しなかったというネガティブな印象は、しばらく彼につきまとうだろう。しかし彼は「それは僕にはコントロールできないこと。バスケをプレーすることだけに集中するよ」と語った。
ワークアウトに参加しなかった彼は、これまでユタ州を訪れたことがないというが、それでも「若いチームだからお互いに学べると思うし、馴染みやすいと思う。一緒に学び、お互いを理解して、同チームにフィットするかを学ぶ」と、新たな挑戦に前向きだ。
「ルーキー・オブ・ザ・イヤーは絶対に獲得したい。1年目からオールスターに選ばれたい」と彼は言う。ドラフトを巡る悪いイメージは、コート上のパフォーマンスですぐに払拭できるはずだ。