エース・ベイリー

より多くの出場機会を求めて指名順位ダウンが狙いか

今年のNBAドラフトは、日本時間の626日午前にスタートと間近に迫っている。マーベリックスが全体1位指名権でデューク大のクーパー・フラッグを指名するのは確定的だが、その他の順位については流動的だ。

今、各チームは指名候補の選手たちを個別のワークアウトに招き、選手評価の最終段階に入っている。そんな中、異例の対応を見せているのがラトガーズ大1年のエース・ベイリーだ。208cmのウイングであるベイリーは、大学入学前の時点から今年のドラフトでトップ3候補と言われていた有望株。今シーズンは同大で30試合出場、平均17.6得点、7.2リバウンド、3ポイントシュート成功率34.6%を記録した。全体2位でスパーズが指名濃厚とされる、同じラドガーズ大のディラン・ハーパーと共に、上位指名を確実視されている。

通常なら少しでも良い順位での指名を目指す選手たちが、絶好のアピールチャンスである各チームのワークアウトの要請を断ることは稀だ。だが、『ESPN』は、ベイリーは全体3位指名権を保有するセブンティシクサーズとのワークアウトを中止にしたと報じている。さらに、ここまでベイリーはいかなるチームともワークアウトを行っておらず、これは異例だ。

このベイリーの態度は、チーム側にコンディションの問題があるのではと余計な疑念を抱かせたり、評価を下げるものでしかない。だが、ここに来てささやかれているのが、ベイリー側が全体3位のセブンティシクサーズ、全体4位のホーネッツが指名を見送ることを目論んでいるという意見だ。

ベイリーとしては1年目からチームの中心として多くのプレータイムを得ることを望んでいる。だが、現状シクサーズには同じポジションにポール・ジョージ、タイリース・マクシーと実績十分のスター選手がおり、ホーネッツもウイングのブランドン・ミラーと司令塔ラメロ・ボールが攻撃の軸となるスタイルが確立されている。そうなると全体5位のジャズ、6位のウィザーズ、7位のペリカンズ、8位のネッツなど再建モード中のチームに指名されたほうが、コアメンバーとしてプレーしやすい。

ベイリー側からワークアウトに参加しない理由が明らかにされていないので、真偽はわからない。ただ、ポジティブな効果を期待できない態度を取っているのは間違く、それでも彼の才能を評価してセブンティシクサーズが指名する可能性も十分にある。ベイリーの行き先は今年のドラフトにおける大きな焦点の1つとなってくる。