デズモンド・ベイン

「単純な話で『勝つ時が来た』ということだよ」

デズモンド・ベインはマジックへのトレードが発表された2日後に、クラブ施設を訪れた。トレードは彼にとっても驚きだったが、偶然にも休暇で滞在していたのがフロリダ州のデスティンで、すぐに今後の拠点となるオーランドにやって来たというわけだ。

「メンフィスでは素晴らしい人間関係を築くことができたから、仲間たちと別れるのはつらい。もちろん、連絡は取り合うし、絆は今後も続く。その一方で、僕はここに来られたことに興奮している。ここには特別なことを成し遂げられるメンバーが揃っている。新しい挑戦を始めるのを楽しみにしているんだ」

エージェントからトレードを知らされた時はショックだったが、「行き先がマジックだと聞いて笑顔になれた」とベインは言う。「シーズン終了後にエージェントと話した時、もしトレードが起きると仮定した場合に行きたいチームの一つとして、僕はマジックを挙げていたんだ」

メンフィスとオーランドは同じアメリカ南部でもカンファレンスが異なるし、ベインにとってマジックはこれまで特別な縁があるわけではなかったが、マジックのバスケに彼は良い印象を抱いていた。

「マジック戦で得点するのはいつも大変だった。強固なディフェンスがあり、チームの戦術と選手の特徴とぴったり合っている」というのがマジックの印象だ。

「マジックのバスケと言えばディフェンスとフィジカルだよね。誰が相手でも引かないし、守備だけじゃなく攻撃でも粘り強い。それが大事な要素なのは、NBAファイナルを戦っている2チームを見れば分かる。目標を達成するには優れたディフェンスチームでなければならない。僕もそれを受け入れて、プレーで示していくつもりだ」

ベインはまだ26歳と若いが、すでにNBAで5年のキャリアがあり、そのすべてを主力として過ごしてきた。グリズリーズではヤングコアの一人という立場だったが、マジックでは24歳のジェイレン・サッグス、23歳のフランツ・バグナー、22歳のパオロ・バンケロよりも年長で、リーダーシップを発揮することも求められる。

彼はその役割を望み、だからこそ今回の移籍を前向きに受け止めている。「このリーグで結果を出すのはとても大変だけど、すべてはプロセスから始まる。毎日のトレーニングにどう取り組むか、食事や睡眠などの一つひとつが重要だ。このチームは成功の道をすでに見いだしつつあるけど、僕は自分のルーツを大切にしながら、模範となってチームを引っ張っていきたい」

マジックはベイン獲得のために多くのドラフト指名権を手放しており、彼にはその責任が圧し掛かってくるのだが、彼は全く気にせずにこう語った。

「単純な話で、『勝つ時が来た』ということだよ。このチームにはすでに多くの若手がいる。今回のトレードは完璧なタイミングで行われたと思っている」