
「これから起こることに集中している」
サンズの新ヘッドコーチに就任したジョーダン・オットが記者会見を行った。今シーズン、36勝46敗に終わったサンズはマイク・ブーデンフォルツァーをわずか1年で解任。2023-24シーズンのフランク・ボーゲルに続き、NBA優勝経験のあるベテラン指揮官を2年連続1シーズンで見切りをつける一貫性のなさが目立っている。
40歳のオットは、ブーデンフォルツァーやボーゲルと違い今回が初のヘッドコーチ職となる。これまでネッツ、レイカーズ、キャバリアーズでアシスタントコーチを務め、今シーズンはキャバリアーズのレギュラーシーズン東カンファレンス1位に貢献した。
2021年のファイナル進出以降、サンズはケビン・デュラントやブラッドリー・ビールといった大型補強が機能せず右肩下がりの状況となっている。だが、オットは過去のゴタゴタを気にしない。「NBAのコーチになるとき、私たちは何に対して契約を結ぶのかがわかっている。これまでに起こったことを振り返るつもりはない。これから起こることに集中しており、それだけにエネルギーを注ぐ」
アシスタントとして実績を積み重ねてきたオットだが、今回の抜てきは能力以外の部分が大きく影響したという見方もある。それは出身校だ。オーナーのマット・イシュビアはミシガン州立大の選手。新GMのブライアン・グレゴリーはイシュビアの現役時代に同校でアシスタントコーチを務め、デイトン大、ジョージア工科大、サウスフロリダ大でヘッドコーチを歴任してきたが、フロント業務の経験は乏しい。
イシュビア、グレゴリーより一回り若いオットも、かつてミシガン州立大でビデオコーディネーターを務めていたがゆえ、今回の人事は「ミシガン州立大繋がりの縁故採用では」という声が少なくない。だが、オットは「私は、ヘッドコーチ会見の場にいる権利をつかみとった。この場にいるため20年間、できるかぎりの努力をしてきた。偉大な人々、コーチ、選手たちに囲まれた中で、自分を成長させるため厳しい環境に身を置いてきた」と、自分の力に自信を持っている。
そして「私はこのチャンスをつかんだ。自分が正しい理由でここにいることを証明するため、これからも全力を尽くしていく」と偏見を見返すつもりだ。
トレードでの放出濃厚と見られるデュラントを含め、現時点でサンズの新シーズンのロースターがどうなるのかは不透明な部分が大きい。だが、オットが縁故採用ではなかったという評価を確立したときには、チームは自然と素晴らしいシーズンを送っているはずだ。