馬場雄大

先日行われた『B.LEAGUE AWARD SHOW』で、アルバルク東京の馬場雄大はベストシックスマン賞を受賞し、昨年の新人王に続いて2年連続の受賞となった。ファイナルではMVPにも輝いており、華々しく今シーズンを終えたが、日本代表との掛け持ちが続くタフなスケジュールであり、ヘッドコーチと揉めたりと、プレーだけでなくメンタル面でもシーズンを通して一回り成長した馬場選手に話を聞いた。

「試合にすべてを賭けて、勝つことしか考えていない」

──2連覇を達成できて、あらためて沸きあがる感情とかはありますか?

優勝した瞬間はめちゃめちゃうれしかったですけど、今はありがたいことに取材や撮影などでそういったことを考える時間はなく、あれよあれよという間に時間が過ぎていますね。

──馬場選手は大学時代から5年連続で日本一になっていますね。インカレの決勝戦も大活躍して、今年もファイナルでMVPを獲りましたが、大舞台になると普段以上に力が出せるという感覚はありますか?

どうですかね。普段は余計なことを考えているんでしょうけど、その試合にすべてを懸けて、勝つことしか考えていないので、そういう集中力は他の試合とは違うと思います。

──ゾーンに入るのはコツがあるのか、それとも舞台がそのようにさせているのですか?

舞台がそうさせてくれるのだと思います。自分はゾーンの入り方とかは分からないですし、与えられた環境がそうさせてくれるのかなと思いますね。

──アワードも2年続けての受賞で、率直に自分が受賞したベストシックスマン賞についてはどのように思いますか?

すごく光栄な賞です。たくさんの控えの選手がいるなかでの受賞なので。

──アワードにはベスト5賞もありますが、馬場選手にとって今シーズン対戦して嫌だった選手ベスト5を選ぶとどの選手になりますか?

1番は富樫(勇樹)選手、2番3番で比江島(慎)選手、遠藤(祐亮)選手ですかね。4番は(ジュリアン)マブンガ選手。5番がダバンテ(ガードナー)選手です。

──その理由を教えてもらえますか?

富樫選手は勝負どころでの決定力とあのメンタル、リーグ屈指のガードということで何度も苦しめられました。遠藤選手と比江島選手は、栃木というあの堅実なディフェンスの元で展開するバスケットで、一瞬たりとも気が抜けない相手です。マブンガ選手はアシスト力だったり、トリプル・ダブルを何回もしているので、ああいった才能はすごい脅威です。ダバンテ選手は破壊力の一言に尽きます。

──実際に馬場選手がマッチアップした中では、どの選手に一番やられた感じがありますか?

遠藤さんには正直やられたなというイメージがあります。シュートを打つ時もディフェンスの僕の手を見て打つんですよ。それをされた時には、この人すごいなと思って、しかも決めてくるので。その試合は栃木さんに負けてしまったので、やられた感じはありますね。

馬場雄大

月日をともにし、築いたヘッドコーチとの関係

──ルカ(パヴィチェヴィッチ)ヘッドコーチとの関係性は、一緒にいる時間を重ねることでフレンドリーになっていくのか、ピリっとした関係は変わらないのか、どちらですか?

試合中はもちろんピリッとした関係ですが、プライベートは本当にフレンドリーな感じで、オン・オフが切り替えられていい関係だと思います。本当にルカには感謝ですね。

──今シーズン、ルカヘッドコーチに言われたことで、印象に残っている言葉や出来事はありますか?

琉球戦(レギュラーシーズン)のアウェーでの2試合目なんですけど、ちょっとルカと僕が揉めちゃって。そこから試合に出ないということが起きました(実際、プレータイムは今季最小の7分半だった)。そこでルカは、『チームの勝利よりも今日はお前のメンタルとか、そういう部分の成長を取った』と、言ってくれて、その時にとても反省の意に駆られました。ルカはすごく親身になってくれているなと、あらためて思った瞬間だったので一番印象に残っています。

──馬場選手にとっても、そこからより責任感を持ったということですね?

そうですね。個人としてより、チームとしてどう戦うのか。チームがあった上での個人なので、その役割は全うしようと思って、コンスタントに活躍するということを意識するようになりました。

馬場雄大

チームがバラバラになるのではという不安を乗り越えての優勝

──馬場選手にとって大学1年生の時の優勝が初めての日本一だったと思いますが、今は日本一に対する意識の変化はありますか?

同じ日本一でも、その1年が反映していると思うので、その分今年が一番うれしかったですね。タフなシーズンでしたし、その年々の内容で大きく変わってくるので毎年違った感情が得られています。

──今年が一番うれしかったのは、なぜですか?

レギュラーシーズンで千葉さんに負け越したり、新潟さんにも対策されてしまい、自分たちの中でしっくり来ないままレギュラーシーズンが終わってしまったところがありました。チャンピオンシップでは気持ちを一新して入れ替えて、優勝まで持っていけて。すごくタフでしたし、ケガ人もいましたが、それも踏まえての優勝だったのですごくうれしかったです。

──最後にあらためて、今シーズンを一言で表すとどんなシーズンでしたか?

もう『タフ』の一言です。ケガ人も出て、バスケットボールに全力で打ち込めない環境の選手もいて、本当にチームがバラバラになるんじゃないかっていう時もありました。でも、正中(岳城)選手を筆頭にまとまってここまで来れて、さらに優勝までできてすべて報われた気がしましたね。本当にタフなシーズンだったなと思います。

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