ジェイレン・ブランソン&ビクター・ウェンバニャマ

同点で迎えた14秒、ターンオーバーからのフリースロー

NBAファイナル第2戦はニックスが優位に立っていた状況から、ジョシュ・ハートとカール・アンソニー・タウンズのファウルトラブルで流れが変わり、第4クォーターにスパーズが怒濤の追い上げを見せたことで、最後まで勝敗が分からない展開となりました。

同点で迎えた残り14秒。ニックスはジェイレン・ブランソンが勝ち越しを狙ったシュートを外します。リバウンドを抑えたビクター・ウェンバニャマはトランジションのチャンスと判断し、自らボールを運ぼうとドリブルをつき始めました。

この判断を見たステフォン・キャッスルはボールから目線を切って前へと走り出したのですが、ウェンバニャマは目の前にスペースが広がっていたもののドリブルを1回で止め、キャッスルへとパスを出します。これがキャッスルの背中に当たったルーズボールをブランソンが抜け目なく奪い、さらに自分のミスを取り返しに来たウェンバニャマのファウルを引き出します。ここで得たボーナススローが勝敗を分けました。

スパーズのミスから生まれた決勝点でしたが、見過ごせないのはブランソンの素早い動き出しです。ブランソンはトランジションに備えて下がりながらボールを見ていたのですが、ウェンバニャマがドリブルを止めた瞬間に前へと動き直し、パスを出す瞬間には「ミスが起こる」ことを予測していました。だからこそルーズボールに誰よりも早く反応できたし、そうでなければウェンバニャマがボールを拾い直していたでしょう。

同じようなシーンで思い出されるのが、ロケッツとレイカーズが対戦したファーストラウンド第3戦、ジャパリ・スミスJr.のパスをマーカス・スマートが奪い、まさかの同点劇へと繋げたスティールです。スミスJr.の目の前にはスペースがあり、6点をリードしている状況で急いで攻める必要もありませんでした。しかし、重要な試合でスミスJr.が冷静でいられないことを分かっていたかのように、スマートは先に動き出してミスを引き出しました。それは直接戦っている選手だからこそ読み取れた感覚なのかもしれません。

この試合のウェンバニャマは4つのターンオーバーを喫していますが、そのうちの2つは前半終了間際の疲れが出てくる時間帯であり、それも落ち着いてさばけば問題のないシーンでのパスミスでした。ブランソンは受け手の状況を見ないでパスを出すウェンバニャマの『危うさ』を感じ取っていたようにも思えます。

ウェンバニャマがリバウンドを取った時、即座に走り出していたスパーズの選手はキャッスルのみで、逆にニックスの選手はブランソンを含めて4人がトランジションディフェンスに備えていました。セオリーであればタイムアウトにもかかわらず急いで攻める選択をした時点で、ブランソンには数秒先の出来事が予見できていたのかもしれません。

この試合のブランソンはフィールドゴールが28.6%しか決まらず、いつもの勝負強さを発揮できませんでした。しかし、最後まで強気な姿勢は崩すことなく、それでいて冷静な判断がニックスに2連勝をもたらしました。