シェイ・ギルジャス・アレクサンダー

ウルブズのゾーンを攻略して38得点、サンダーは2連勝

現地5月22日にペイコム・センターで行われたサンダーvsティンバーウルブズの第2戦は、シェイ・ギルジャス・アレクサンダーとオクラホマシティのファンのために行われた試合となった。前日にシェイのシーズンMVP受賞が決まり、会場はお祝いの場となった。試合前のコートでは受賞セレモニーがあり、ファンの見守る中で彼はトロフィーを掲げた。

「感情が高ぶって少し疲れてしまった感じだった。試合の入りでは興奮しすぎだったと思う。でも、素晴らしい瞬間だった」とシェイは言う。試合開始早々に審判が流血するアクシデントがあり、止血のために試合が止まったのは、シェイとチームメートが落ち着きを取り戻すのに一役買ったのかもしれない。

初戦を落としたウルブズはここで一矢報いるべく様々な手を打ったが、いつもの調子を取り戻したサンダーは危なげない戦いぶりを見せる。シェイのドライブからズレを作り出すプレーメークに対抗するゾーンディフェンスを、サイズのないマイク・コンリーを狙ったプルアップジャンパーで攻略した。一方でサンダーの執拗なアンソニー・エドワーズへの守備に、ウルブズは打開策を見いだせなかった

26点差で大勝した第1戦ほどの差は付かなかったが、サンダーの勝利は揺らがなかった。クォーターが進むごとに少しずつ、着実に差を広げる盤石ぶり。その流れを打破すべきアンソニー・エドワーズは32得点を挙げたものの、イージーなチャンスはほとんどなかった。ペイントエリアでコンタクトを受けながらシュートをねじ込むか、得点期待値が高いわけではないミドルジャンパーを根性で決めきるか。その中での32得点は十分すぎる活躍だが、ディフェンスに本来の力は注げなくなった。

一方のシェイも、ドライブで相手を引き付けてチャンスを作るため、彼自身がフリーでシュートを打つチャンスはほとんどない。それでも、彼がエドワーズをかわしてリムへと向かえば、チェット・ホルムグレンやアイザイア・ハーテンシュタインが良い距離感を保って少なくとも1人はディフェンスを引き付け、外でもシューターが良いポジションを取って、ウルブズ守備陣がシェイだけに集中できない状況を作り続けた。そしてシェイのバスケIQは、不利なマッチアップを強引に攻める選択を避け、徹底的にマークされながらもフィールドゴール21本中12本成功、フリースロー15本獲得と、効率良く得点を重ねた。

「特に序盤はチームメートに頼らせてもらった。最初はシュートを強引に打とうと思ったけど、多分それは流れを悪くする。仲間を信頼し、試合の流れが自分に来るのを待つことにしたんだ。強引なプレーはどこかに無理が出る。それよりもディフェンスに集中しようと思った」とシェイは言う。

「もっとリードを広げなきゃ、と焦ることはなかった」

前半は8点リード。それを第3クォーターで22まで広げ、第4クォーターも2桁を維持した。「もっとリードを広げなきゃ、と焦ることはなかった」とシェイは言う。「ただアグレッシブにプレーし、自分のポジションを取って正しいプレーを選択しようとした。他に意識したのは、それぞれのクォーターを良い形で締めくくることだ」

その落ち着きは試合中だけでなく、試合と試合の間も同じだ。「僕たちはシーズンを通じて、次の試合に集中すること、目の前のことだけを意識する習慣を身に着けてきた。その筋肉を鍛えてきたと言うべきかな。この状況でもそれは変わらない。これまでの道のりで築き上げたものに自信があるから、急な方向転換をしようとは思わない」

この試合でシェイは15本のフリースローを獲得し、フリースローラインに立つたびにスタンドからMVPコールが沸き起こった。もう何年も目にしている光景だが、この試合から『ファンの願望』ではなく本物のMVPに対する称賛となった。自信に満ち溢れ、かといって気の緩みがあるわけではない。今のシェイとサンダーはまさに『我が世の春』を謳歌している。