「僕たちにはウォリアーズに勝てる力がある」
カリフォルニア州オークランドのブルックフィールド・ビレッジ出身のデイミアン・リラードにとって、ウォリアーズと対戦するカンファレンス・ファイナルは、特別なシリーズになる。
リラードにとってのオラクル・アリーナは、頻繁に足を運んだ『遊び場』だった。リラードの父親が1999-00シーズンから3年間、シーズンチケットを購入していたアリーナがウォリアーズの本拠地として使用されるのは、今シーズンが最後。来シーズンからは、サンフランシスコに建設中のチェイス・センターが、彼らの新ホームアリーナとなる。
リラードは、5月14日から始まるシリーズで、最大で4試合オラクルでプレーする。オークランドでのシリーズ第1戦の前日、彼は「物語のようだね」と語った。
「今シーズンが彼らにとってオークランドでのラストイヤーだ。かつての僕はこの会場でよく試合を見ていた。特別なエンディングになる。できることなら、自分たちにとって良い形で終わりにしたい」
当然ながら、ウォリアーズにとっての有終の美は、オラクルでのスリーピート(3連覇)達成しかない。ただ、サンダーとのファーストラウンドをリラードの劇的ブザービーターで突破し、ナゲッツとのカンファレンス・ファイナルを『GAME7』の末に勝ち上がったトレイルブレイザーズは、王者にとっても簡単な相手ではない。
ステフィン・カリーはリラードとオークランドの関係を理解しつつ、「彼にとって特別なシリーズになるのは間違いない。でも、彼にとってのハッピーエンディングにはしたくない。自分たちにとってのハッピーエンディングにしたい。それが僕たちの仕事」とコメントした。
レギュラーシーズンの対戦が参考になるかは分からないが、今シーズンの両チームの対戦成績は2勝2敗。リラードは「相性は良いと思う」と言う。「すごく自信があるよ。僕たちにはウォリアーズに勝てる力がある。あとは、それをコートで実証するだけだ」
オークランド高校時代のリラードを指導したオーランド・ワトキンスは、『Mercury News』の取材を受け、「オークランド出身の人間がオラクルの歴史を終わらせたら最高だと思わないか?」と答えている。「オラクルからほど近いところで生まれ育った男が、ウォリアーズをプレーオフで破り、オラクルの歴史を終わらせる姿が想像できるかな? もしそれが叶ったら、優勝より大きいことだと思う」
これまでのキャリアを振り返り、幼かった頃の自分に何か言えるとしたら何を伝えるか、という質問に対し、リラードはオラクルで父と兄と交わした会話に関するエピソードを明かした。
「自分自身に何を言うかなんて分からない。これまでのキャリアでも、たくさんのことを成し遂げきたからね。ただ、一つだけはっきりと覚えていることがあって、高校のプレーオフの試合をオラクルでプレーして、帰り際に父と兄にこう言ったんだ。『次にここでプレーする時、俺はNBA選手になっている』ってね。会場のどこで言ったかも覚えているよ」
思い入れのある会場で最後となるカンファレンス・ファイナルで、リラードはウォリアーズと対戦する機会をつかんだ。形式上は敵地であっても、ウォリアーズファンからブーイングで出迎えられたとしても、オラクルは彼にとってのホームアリーナだ。
現役の中で、ウォリアーズ以外の選手でオラクル・アリーナでのプレーがサマになるのは、リラードしかいない。