伝説のポーズはフライング「やり損だった感じはするね(笑)」
現地5月21日、ペイサーズとニックスによるイースタンカンファレンスファイナルのゲーム1が行われた。第4クォーター終盤に驚異的な追い上げを見せたペイサーズが、オーバータイムの末に138-135の激闘を制した。
試合は前半、ともにフィールドゴール成功率50%以上という好調なオフェンスで互角の展開となる。だが、ペイサーズは第4クォーター序盤にニックスの猛攻を受け、残り6分半で17点の大量ビハインドを追う。
試合はそのままニックスのペースで進み、ペイサーズは残り2分を切っても2桁のリードを追いかけていたが、アーロン・ネスミスの連続3ポイントシュートなどで猛追。そして、2点を追う残り7秒からのラストオフェンスで、タイリース・ハリバートンがブザービーターとなる劇的な同点シュートを決め、オーバータイムに持ち込んだ。
ちなみにハリバートンはここで3ポイントシュートを狙っていたが、惜しくも3ポイントラインを踏んでいた。逆転勝利を決めたと勘違いした彼は、元ペイサーズのレジェンドであるレジー・ミラーがニックス戦で大逆転勝利を収めた時に見せた、首絞めのセレブレーションポーズを披露。この時の心境を「昨年もみんなは僕にどこかでこのポーズをやってほしがっていた。今回はこれをやる正しいタイミングだった。ただ、2点と分かっていたらやらなかったよ。ちょっとやり損だった感じはするね(笑)」と振り返っている。
オーバータイムでも一進一退の攻防が続く中、ペイサーズは残り26秒にハリバートンのアシストからアンドリュー・ネムハードがレイアップを決めて1点を勝ち越す。さらに直後のポゼッションで、ネムハードはニックスのジェイレン・ブランソンに対し激しいプレッシャーをかけ、ターンオーバーを誘発。そして残り15秒にはオビ・トッピンが豪快なダンクを決めるなど、脇役たちの活躍も光ったペイサーズが競り勝った。
「0勝970敗」の大ジンクスを覆しての逆転勝利
ちなみにペイサーズの発表によると、これまで27年間のポストシーズンにおいて試合残り2分50秒で14点以上のビハインドを負ったチームの成績は0勝970敗だった。文字通り、NBA史上に残る大逆転劇となった。
31得点11アシストを挙げたハリバートンは「僕たちは、相手がコントロールしていると感じる試合をたくさん戦ってきた。試合の残り時間がゼロになるまで、試合は終わらない」とコメント。そして勝因を次のように語った。
「僕たちはオーバータイムで、みんなが1つになってビッグプレーを続けた。特にアーロンは、ヒーローとなるプレーをしてくれた。彼は終盤で本当に素晴らしく、オビも重要なプットバンクのダンクを決めた。多くの選手が勝利に貢献してくれて誇りに思う」
ペイサーズにはハリバートンという絶対的な存在がいるが、それでも他のチームに比べると個への依存度は少ない。この試合が象徴するように、日替わりヒーローが出るリーグ屈指のチーム力を構築できた理由を、ハリバートンはこう言った。
「NBAでは継続があまり見られない。多くのチームは1年ごとに主力メンバーを変えていく。僕たちのフロントオフィスは、継続性を持たせるために素晴らしい仕事をしてくれている。それによって僕たちは、互いに自信を持てている。誰がどこのポジションにいるのかわかるし、互いの動きを把握できていることが大きい。僕たちがとても仲が良く、さらに若いことから『大学のチーム』と冗談を言う人もいるけど、これは特別なことだ。僕はこのメンバーと一緒にプレーするのが大好きで、このまま勝ち進んでいくのが楽しみだ」
継続性によって質の高いチームバスケットボールを実現し、自分たちの強みを存分に発揮しての歴史的な大逆転劇。勢いに乗るペイサーズにとって、これ以上ない勝利となった。