サンダーの好成績を追い風に、71の1位票を集める
現地5月21日、シェイ・ギルジャス・アレクサンダーのシーズンMVPの受賞が発表された。ニコラ・ヨキッチが29.6得点(リーグ3位)、12.7リバウンド(同3位)、10.2アシスト(同2位)という異次元のレベルでシーズン平均トリプル・ダブルを達成し、スタッツでは最高の結果を残した一方で、シェイはリーグトップの32.7得点を挙げ、リーグトップの68勝を挙げたサンダーをエースとして牽引してきた。
MVPの投票はレギュラーシーズン終了後に行われたが、発表はカンファレンスセミファイナルでのサンダーとナゲッツの対決の後に持ち越された。『GAME7』の末にサンダーが勝利したことで、このMVP選出に異論を唱える者はほぼいないだろう。
シェイとヨキッチの差は、チームの差とも言える。サンダーは2年連続で西カンファレンスを制した。ネットレーティングの+12.7はNBA史上2位の記録で、シェイは攻守でこの好成績に貢献している。
シェイは得点王ではあるが、ダブルチームを引き付けてチャンスメークするポイントガードであると同時に、サンダーのチームディフェンスの『歯車』の一つとして、レギュラーシーズンを通じて131スティールと77ブロックを記録。スティールとブロックを合わせた『ストック』は208で、これはビクター・ウェンバニャマとダイソン・ダニエルズに続くリーグ3位の数字だ。
一方でナゲッツは、昨シーズンはサンダーと同じ57勝25敗で西カンファレンス首位を分け合ったが、今シーズンは50勝へと後退。個人賞の投票時期に近いレギュラーシーズン終盤にマイケル・マローンが解任される混乱もあり、これがMVPレースでヨキッチに不利に働いた可能性もある。また、ヨキッチは4年間で3度のMVPになっており、『新進気鋭のスター選手』としてシェイに票が集まったことも考えられる。
MVP投票の100票のうち、1位票はシェイに71、ヨキッチに29が投じられ、2位票はヨキッチに71が、シェイに29が投じられた。つまり100人全員が、ヨキッチとシェイのどちらかを1位に、もう一方を2位に選んだことになる。
史上稀に見るレベルの高いMVP争いは26歳のシェイが制した。ヨキッチも今年30歳を迎えたばかりで、プレースタイル的にもまだまだ全盛期は続くだろう。NBAは今後しばらく、この2人が主役となる時代が続きそうだ。