カール・アンソニー・タウンズ

7選手が互いを信頼し、持ち味を発揮して119-81の大勝

現地5月16日、マディソン・スクエア・ガーデンは、この日を待ち望んだニックスファンの熱狂に包まれていた。ニックスがカンファレンスファイナルの舞台に戻ってくるのは1999-00シーズン以来、25年ぶりのこと。目標はあくまで優勝だとしても、久々に優勝争いのできるチームになって2年足踏みしていたカンファレンスセミファイナルを突破したことに、誰もが喜びを爆発させた。

セルティックスはジェイソン・テイタムをアキレス腱断裂の大ケガで失っていた。残るもう一人のエース、ジェイレン・ブラウンが第1クォーターに13得点を挙げるも、彼がオンボールで攻める機会が多すぎると、ボールをシェアしてどこからでも3ポイントシュートを打つセルティックスの持ち味は損なわれる。

第1クォーターは20-26と6点ビハインドで終え、フル出場したブラウンはわずか1分半休んだだけでコートに戻ったが、ニックス守備陣にアジャストされた第2クォーターはターンオーバーを連発。このクォーターで一気に引き離された。

ニックスはディフェンスで激しさを出し、トランジションに走った。ボールをシェアして攻めも守りも個人ではなくチームを強調した。

前半のジェイレン・ブランソンはフィールドゴールを7本しか打たず、ディフェンスを引き付けてチャンスメークに徹して5アシストを記録。ブランソンに加えてカール・アンソニー・タウンズ、ミカル・ブリッジズ、マイルズ・マクブライドの4人が2桁得点を記録し、OG・アヌノビーも9得点とバランスの良さが光った。

それは後半も変わらず、最終的にジョシュ・ハートがトリプル・ダブルを、先発の他の4人は20得点超えを記録した。マクブライドは疲れの出始めたセルティックスを翻弄し、ミッチェル・ロビンソンも繋ぎの役割ながらディフェンスとリバウンドで強烈な存在感を残している。

「ニューヨークの気概、不屈の精神が理解できた」

第4クォーター開始時点で35点差が付き、セルティックスは最終クォーターでブラウン、アル・ホーフォード、ドリュー・ホリデー、デリック・ホワイトの4人をベンチに置いた。一方でニックスは主力を使い続け、7人ローテの全員がベンチに下がったのは残り4分20秒、112-78とリードした場面だった。全く油断のない選手起用について、ニックスの指揮官トム・シボドーは「相手は絶対にあきらめないチームだ。最後まで安心できなかった」と説明する。

カール・アンソニー・タウンズは35分の出場で21得点12リバウンドを記録。特に第1クォーターで11得点4リバウンドを記録し、ジェイレン・ブラウンが奮闘する中でもニックス優位の展開を作り出す大仕事をやってのけた。

「この試合がいかに重要かは分かっていた」とタウンズは語るが、自分の活躍はチームバスケがあってこそだと強調する。「得点面でみんな僕を信頼してくれて、その信頼に応えてシュートを決めることができた。仲間たちが僕をリズムに乗せてくれた。このメンバーのおかげで勝てたんだ」

彼は昨シーズンもカンファレンスファイナルに進出している。勝手知ったるティンバーウルブズからニックスへと環境を変えながら、2年連続でプレーオフでの躍進を果たしている。加入1年目の彼にとって、この経験は大きい。「ニューヨークの気概、不屈の精神が理解できたように思う」とタウンズは言い、こう続けた。

「プレーオフで勝つには『絶対に勝つ』という強い気持ちが必要になるし、僕たちはそれを体現できた。それはチームにとって特別なことだと思う。ピストンズとの対戦では、接戦を勝ち切る強さを示すことができた。そして今回のシリーズでは、20点差から巻き返して逆転したり、どんな展開でも絶対にあきらめない、自分たちを信じ続ける強さを見せられたと思う」

タウンズは笑顔を見せながら会見に応じていたが、最後は表情を引き締めてこう語った。「僕たちは特別な何かができる。誰が何と言おうと、僕らの自信は揺らがないよ」