
福井ブローウィンズはりそなグループ B.LEAGUE 2024-25 B2リーグ戦を32勝28敗のB2東地区4位で終え『りそなグループ B2 PLAYOFFS 2024-25』(以下、プレーオフ)のクォーターファイナルでライジングゼファー福岡と対戦する。5月4日に迫ったプレーオフに向けて、現在のチーム状況や意気込みを細谷将司に聞いた。
「プレーオフでどれだけ化けることができるか」
──B2昇格して初めてのシーズン。ここまでの戦いぶりをどう感じていますか?
予想よりも厳しいシーズンだったというのが正直な感想です。良い時期もありましたが、その波に乗り切れず勝てる試合を落としてしまうことが続きました。終盤はケガや病気もあって、選手が揃わずに勝ち星を伸ばすことができませんでした。ただ、開幕前もシーズン中も「もっと勝てる」という手応えはありました。
──惜しい試合を落とさないためには、何が課題だと感じましたか?
昨シーズンから感じていたことですが、リバウンドがシーズンを通しての課題です。リバウンドを取り切れないと、自分たちが得意としているトランジションオフェンスに持ち込めません。あとはディフェンスの遂行力に波があったことです。ただ、シーズン後半はディフェンスに手応えが出てきて、徐々に仕上がってきた感覚があります。
──昨シーズンから継続している選手が多いですが、積み上げて力になっていると感じますか?
ディフェンスに関してはかなり感じますね。オフェンスは、このプレーオフでどれだけ化けることができるかに期待しています。ベンジャミン・ローソンが欠場してからはアウトサイド中心の攻撃が増えて、外からのシュートが当たれば勝つし、入らなければ厳しいという展開になってしまいました。外のシュートが入らない時の対策も練習でしっかりやっていますが、外国籍選手を含めてアウトサイドから打てる選手が多いのは大きな武器だと思います。
──ベテラン、中堅、若手がうまく融合している印象です。秘訣はありますか?
やっぱり、ベテランの選手がいじられることじゃないですかね(笑)。僕と田渡(修人)が日本人最年長なんですが、僕らがふざけてるので、後輩たちも気軽にいじってくれます。別に狙っているわけじゃないですが、周りから「すごく仲良いよね」「コミュニケーションが取れてるね」と言ってもらえるのはすごく嬉しいです。
──若手の成長やチーム全体の底上げも感じられるシーズンでしたか?
僕がいない間に藤澤(尚之)が活躍してくれたり、西野(曜)もすごく自信を持ってプレーしているのが外から見てても分かりましたし、何より2人とも楽しそうにプレーしていたのは、すごく良い傾向だと感じています。この経験は必ずプレーオフに繋がっていくので、「自信を持って、自分のプレーをどんどんやってくれ」と伝えていました。

4月から戦線復帰「プレーオフではガンガンいける」
──ご自身は2月末から3月にかけて欠場し、終盤に復帰されました。現在のコンディションはいかがですか?
まだ100%ではないですが、日々良くなっている実感があるので、プレーオフではガンガンいけると思います。
──100%ではないと言いながらも、4月12日の山形ワイヴァンズ戦では21分13秒出場で19得点の活躍でした。
「いきなりあんなに出るの」と思いましたよ(笑)。復帰2試合目だったので、コーチから「そんなに出さないよ」と言われてたんですが、ふたを開けてみたら「めちゃめちゃ出すやん」って(笑)。「調子が良かったからね」と言われましたが、次の日は身体がバキバキで……。でも、2試合連続でしっかり出られたのは良かったですね。
──その試合でも流れを読み、相手に勢いを与えない上手さが光っていました。
相手は、ウチに対して外を守ってきます。ディフェンスはハードに当たってくるので、そうなったら、ドライブを仕掛けるとか、本当にシンプルなことを心がけています。あの試合でも結構前から相手がガンガン当たってきたので、それを逆手に取る感じですね。あと、チームが停滞した場面では、みんな弱気になっていると思ったので、自分が行くしかないなと気持ちを入れてやりました。
──ディフェンスでは常に声を出している姿が印象的です。連携を高めるためにやっていることはありますか?
僕たちはディフェンスのチームですし、声を出すことも技術の一つです。長いキャリアの中でそれがすごく大事なことだと実感してきましたし、練習の時から声を出せなければ、試合ではうまくいかないと思っています。個人的には、まだまだディフェンスは上手くなれると感じているので、突き詰めていきたいです。
──継続審議だったB1ライセンスも無事交付されました。おめでとうございます!
ありがとうございます!これで B1ライセンスが取れていなかったら、「おいおい!」って感じになっちゃうので(笑)。僕たちもそのために頑張ってきましたが、やっぱり決して簡単ではないライセンス基準を満たすためにフロントの皆さんが本当に頑張ってくれたおかげですので、感謝しかないですね。

「福井のファンは本当にB1クラス」
──クォーターファイナルはライジングゼファー福岡との対戦が決まりました。展望を教えてください。
わかりやすいくらいに、うちは速い展開を得意としていて、福岡さんはインサイドがどっしりしています。勝つためには、いかに速い展開を作って、外のシュートをどれだけ高確率で決められるかです。とにかく走って、走って、走りまくります!
──昨シーズンはB3でダントツの成績を挙げましたが、今シーズンはカテゴリーも変わり、気持ちの違いも大きいと想像します。
全然違いますね。今シーズンは失うものがないですし、僕らはチャレンジャーなので思いきりやるしかないです。去年は『負けられない』というプレッシャーが強かったですが、今年はそれよりも大きなものにチャレンジできることにワクワクしています。このチームは全員がポテンシャルを持っているので、どこまで行けるかという楽しみが大きいです。
──伊佐勉ヘッドコーチは実績も豊富ですが、プレーオフに向けて共有していることはありますか?
面白いんですけど、『ハイファイブ』と言って、高いところでタッチするのをやっていこうと取り組んでいます。低い位置ではなく高く手を出すことで、自然と顔も上がる。「プレーオフでは下を向いている暇はないから」と、落ち込んでいる選手がいたら顔を上げさせて、全員で戦っていこうと話しています。
──新しいクラブとは思えないほど福井のファンの熱狂ぶりが印象的ですが、何が要因だと思いますか?
フロントスタッフさんが会場作りや演出をすごい頑張ってくれているので、それは選手にも伝わっていますし、ファンの皆さんが喜んでくれるので大きいことです。あとはバスケットボールのスタイルだったり、選手の仲の良さ、キャラクター性がすごく福井にマッチしてる印象があります。ただ、あれだけ声が出るのはもう県民性なのかなと。秋田に似てるかなと感じてて、本当に熱狂的です。福井のファンの皆さんは本当にB1クラスです。もし負けてても最後まで声を出してくれるので、チーム愛を感じます。
──プレーオフへのファンの期待も大きいと思います。
ホーム最終戦後のサイン会でファンの皆さんから「絶対にB1に行って!」とたくさん声をかけていただきました。ただ「頑張ってね」ではなく、皆さんが昇格について強く言ってくださるので、一緒にB1の舞台に行きたい気持ちがすごく伝わってきましたし、改めてファンの熱さを実感しましたね。
──最後に、応援してくれている皆さんにメッセージをお願いします。
最短でのB1昇格が自分のミッションです。そのチャンスをつかめるところまでは順調に来れました。あとはプレーオフで勝って、B1へ行く。そこだけにフォーカスして戦います。クォーターファイナルはアウェーですが、皆さんの声援は確実に僕たちの力になりますし、それが道を切り開いてくれます。本当にあと数試合なので、全力で一緒に戦って風を巻き起こせたら嬉しいです。最後まで熱い応援をよろしくお願いします!