ボールへの執着心で上回り栃木を撃破
チャンピオンシップのセミファイナルで、栃木ブレックス相手に連勝を飾った千葉ジェッツは、2年連続でファイナル進出を決めた。
第1戦、千葉はベンチメンバーがスタートの総得点を上回り、セカンドユニットの出来が勝敗を分けた。それだけに、3本の3ポイントシュートを含む11得点を挙げた西村文男の貢献度は高かった。第2戦でも限定されたプレータイムの中、4得点3アシスト3スティールと攻守に奮闘した。
西村は栃木との2試合について「ディフェンスとボールの執着が今シーズンで一番良かった」と、勝因を語る。「普段からできていないわけではないんですけど、やはり栃木さんは他のどのチームよりも一番ボールの執着があったので。いつもそこで負けていたんですけど、この2日間はウチほうが良いメンタルで臨めたと思います」
レギュラーシーズンでの戦績が示す通り、両チームの力は拮抗しており、リーグ最強のリバウンド力を誇る栃木には常に苦しめられてきた。もちろん、ライアン・ロシターが欠場した影響はある。それでもジェフ・ギブスや竹内公輔らハードワーカーが揃う栃木にリバウンドで上回ることができたのは、ボールへの執着心があったからこそ。西村も、栃木という好敵手が相手だけにより注力したと話す。
「栃木さんはリバウンドとかルーズボールにすごい強いチーム。相手のオフェンスリバウンドを多く取らせないことが常にウチの課題でした。そこを重点的にみんなが大事にした結果かな」
第1戦で勝利の立役者になったが、「昨日、リバウンドは0本と言われました。今日何本か取っているので、数字を残せたと思います(笑)」と冗談混じりに話す。誰に言われたのは明らかにしなかったが、それだけ千葉がチームとしてリバウンドに注力していたということだ。
『忘れ物』という表現「僕はその言葉を使わない」
ファイナルの相手は、アルバルク東京vs琉球ゴールデンキングスのGAME3の決着まで分からないが、西村は「どちらが上がってきても、自分たちのバスケットをいかに40分出せるがかがプレーオフは大事。相手よりも自分たちの準備をしっかりしていきたい」と、自分たちにフォーカスしている。
それは、レギュラーシーズンで積み重ねてきたものに対する自信の表れであり、何より、誰も成し遂げられなかった栃木の不連敗記録を止めたことによるものが大きい。西村も栃木への敬意を示している。「強敵の栃木さんに勝って、勢いもあります。1年間、すごく良いライバルチームとしてやってこれました。背負うじゃないですけど、このまま栃木さんの分も頑張って優勝を獲りたいと思います」
昨シーズンの千葉は、今シーズンと同様に激戦区の東地区を制し、天皇杯も連覇を達成したが、ファイナルでA東京に敗れた。そのため『忘れ物を取りに行く』という表現がよく聞かれる。
だが、西村はチャンピオンシップが始まる直前にこのように語っていた。「みんな、よく忘れ物って言うんですけど、単純に足りなかったから負けたと思っているので、僕はあまりその言葉を使いません。そういう意味では、昨シーズンに足りなかったものを今年は埋めてきた。それが自信に繋がっています」
さらにチャンピオンシップでは「圧倒的に勝ちたい」と豪語していた。結果を見れば、富山に快勝し、栃木から初の連勝を達成するなど、西村の言葉は現実のものとなっている。足りなかったピースがすべて埋まった今、千葉に死角は見当たらない。
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