オフェンスリバウンド量産で9得点10リバウンド

4月6日、千葉ジェッツはアウェーに乗り込みアルバルク東京と対戦し、72-75と惜しくも敗れた。A東京との上位対決は痛恨の連敗に終わり、チャンピオンシップクォーターファイナルのホーム開催獲得へ大きな後退となった。

ただ、内容は悲観すべきものではない。リーグ屈指の鉄人である富樫勇樹が負傷欠場し、離脱中の渡邊雄太と合わせ大黒柱2人が欠場。この大きな苦境の中でも、序盤から強度の高いプレーを継続して最後まで食い下がった。

トレヴァー・グリーソンヘッドコーチも、次のように選手たちの奮闘を評価した。「残念な結果となりましたが、今チームとして逆境にいる中、みんなが気持ちを込めプライドを持ち、最後まで高い強度で戦い抜いてくれました。今日の戦いについてはチームを誇りに思います」

ベンチメンバーのステップアップが目立つ中、特に光ったのはマイケル・オウだった。中国出身である208cmのビッグマンは、オフェンスリバウンドからのセカンドチャンスポイントを何本も決めて9得点10リバウンドを記録。今シーズン初となる20分以上のプレータイムを記録し、A東京の強力インサイドを相手に奮戦した。

この試合に限らず、最近のオウは3月26日の越谷アルファーズ戦で9得点、3月30日の川崎ブレイブサンダース戦で7得点、A東京とのゲーム1でも10得点と活躍。渡邊の欠場によるサイズダウンを補っている。また、オウがローテーション入りすることで、193cmのクリストファー・スミスを本職の3番ポジションで起用し、守備面でのミスマッチの負担が減らせるプラス効果もチームにとっては大きい。

指揮官はオウについて、「昨日も含めて良いプレーをしてくれました。エナジーをチームに与えてくれ、リバウンドだったり、ゴール下の合わせで良く戦ってくれました。Bリーグへの慣れ、ケミストリーの向上があって、自分の役割を集中力高くしっかり遂行してくれています」と称えた。

「海外のリーグに行くチャレンジをしたかった」

オウはここに来てパフォーマンスが向上している理由に、周囲のサポートの大きさを挙げる。「渡邊選手、富樫選手などリーダーの選手たちが、兄貴分的な存在として常に様々なアドバイスをくれます。コーチがより多くの時間、起用してくれることに加え、みんなが信頼してくれていることに感謝しています。そのおかげで良いプレーができています」

NCAA1部のカリフォルニア州立大ノースリッジ校を経て、これまでプロキャリアを中国のCBAで送っていたオウは、「チャレンジをしたかった」という理由で千葉J入りを決断した。

「Bリーグでのプレーを決断する前、CBAのいくつかのチームからもオファーがありました。それでも僕は海外のリーグに行くチャレンジをしたかった。Bリーグはアジア屈指のリーグだと思います。そして幸運にもジェッツがチャンスをくれました」

中国人選手にビッグマンが多いこともあり、CBAの外国籍はガード、ウイングの選手が多い。一方、Bリーグの外国籍は大半がビッグマンという違いもあり、「シーズンが始まる前、プレータイムは1試合5分くらいになるかもしれないと思っていました」と苦戦を覚悟していた。

だが、思うようにプレータイムが伸びない時期も腐ることなくハードワークを続けてきた。その地道な積み重ねが徐々に花開こうとしている。「最初は苦労した部分はありましたが、コーチの考えを頑張って理解し、ハードトレーニングを続けてきました。最初は5分だったプレータイムも、今はチームメート、コーチの信頼を得て15分くらいになりました。これからも、自分ができることをやり続けていきたいです」

ケガの詳細は不明だが、渡邊に続き富樫も引き続き離脱となれば千葉Jにとってシーズン最大の危機となる。しかし、グリーソンヘッドコーチは現状を悲観することなく「富樫選手がいない状況をチームとして成長する良い機会にしたい」と前を向いている。

中心選手の不在で出番を得る選手がステップアップできるかが千葉Jの命運を分ける鍵となる。それができた時に、オウが語った「今シーズンの目標はファイナルの舞台に進み、そこで自分たちのベストを見せることだと思います」というミッションが実現し、王座奪還へと繋がっていく。