「今日の自分のディフェンスにはとても満足しています」
川崎ブレイブサンダーズは、7日、8日と三遠ネオフェニックスとの中地区上位対決に連勝。まず7日には、ニック・ファジーカスが35得点、辻直人が16得点と大黒柱の2人を中心に得点を重ね、第3クォーター終了時に12点のリードを奪いそのまま勝利する危なげない内容だった。
しかし、永吉佑也にとっては不満しか残らない試合だった。「ディフェンス面で全然貢献できずチルドレス選手に気持ち良くプレーさせてしまいました。僕の役割はまずは守備での貢献と思っているので、自分としてはすごく悔しかったです。チームバスケットとして臨機応変にいろいろなプレーを作って、チャンスメークのできる良い内容でした。ただ、自分のプレーは納得行かなくて、夜もぐっすり眠れないくらい悔しい思いを持って今日の試合に臨みました」
実際、第1戦ではジョシュ・チルドレスはフィールドゴール15本中10本成功の高確率でシュートを沈め27得点をマーク。チルドレス個人には好き放題にやられてしまっていた。
だが、8日の試合、チルドレスは前日とは一変して、フィールドゴール16本中わずか5本成功のみで、13得点に留まった。このチルドレス封じに27分以上プレーした永吉も大きな貢献を果たしたのは明らかだ。また、オルー・アシャオルは10得点、ロバート・ドジャーは9得点と、三遠の外国籍選手は揃って不発に終わっており、この結果に「今日の自分のディフェンスにはとても満足しています」と手応えを得ている。
また、改善できた要因については、「昨日から今日で何が変わったのか、一番に言えるのはメンタルの部分です。昨日の悔しいという気持ちから、昨日よりも強い思いで試合に入れました。金曜の試合ではミーティングで話していた、楽な位置でボールを持たせないことが徹底できていませんでした。また、足が全然動いていなかったことでドライブを許すなど、準備不足の感は否めなかったです。そこをすぐに修正できたのは良かったです」と自ら分析した。
「試合での成功体験こそ自分を成長させてくれる」
川崎はシーズン前半戦の快進撃を支えた一人であるライアン・スパングラーが1月28日の試合を最後に故障離脱中であるが、それでもハイペースで白星を積み重ねリーグ最高勝率の座を維持。それはベンチメンバーのステップアップが大きな理由であり、その中でも成長が目立っているのが永吉だ。北卓也ヘッドコーチも、「計算できる選手」と信頼を寄せている。
永吉も自身の成長についてこう語る。「ライアンが抜けたのはチームにとってピンチでしたが、僕にとってはチャンスな面はありました。試合に出ることでいろいろな経験ができます。試合での成功体験こそ自分を成長させてくれるところはあると、プレータイムが伸びてから感じています。また、失敗したことを翌週の練習でどこが駄目だったのかと見直し改善することもできています」
さらに「代表を狙う選手が、1試合平均の出場時間が一桁というのはちょっと恥ずかしい話だと思っているので、そういう面でもチャンスの時期を有意義に過ごせたと感じています」と続ける。代表の常連となっているだけに、リーグ戦で結果を残すことへの強い決意も見せている。
そしてシーズン終盤、チャンピオンシップに向け、永吉は以下のようなプレーでチームにしっかり貢献していきたいと語る。
「自分のサイズとアジリティー(機動力)をしっかり生かしたプレーを求められています。オフェンス面ではスクリナーになることが多いです。しっかりとスクリーンをかけてあげることで、チームオフェンスは滑らかに進んでいく。また、そこからしっかりとダイブすることで、自分もしくはスクリーンをかけた選手がノーマークになりやすくなる。また、ディフェンスではすべての場面において機動力を生かしていく。あとは押し負けない。それが大事だと思っています」
今回の2連戦について永吉は「開幕2連敗の相手に連勝することができ、僕たちは確実に力をつけていると自信になったと思います。そして2位の相手にしっかり2連勝できたので、地区優勝のチームのあるべき姿を見せられました」と総括した。何よりも彼自身が、シーズン開幕当初に比べて確実に成長していることを示したのは間違いない。