「僕は高いレベルでバスケットボールをプレーしたいだけ」

先日ベン・シモンズはネッツとの契約をバイアウトで合意。そして新天地にクリッパーズを選択した。

28歳のシモンズは、2016年ドラフト全体1位でセブンティシクサーズに入団。208cmの大型ガードという貴重な個性を活かし、2019年から3年連続でオールスターに選出されるなどスター選手として活躍した。

当時のシモンズは、次代のNBAを代表する存在になれると大きな期待を受けていたが、その後は茨の道を歩んでいる。2021-22シーズンを背中の故障で全休すると、翌年は首脳陣との関係悪化もあってネッツに移籍。しかし、ネッツでも故障を繰り返し、周囲の期待を大きく裏切る結果に終わった。シクサーズ時代のシモンズは275試合で平均15.9得点、8.1リバウンド、7.7アシストを記録していたが、ネッツでは2シーズン半で90試合出場、平均6.5得点、6.3アシスト、6.2リバウンドに終わっている。

近年のパフォーマンスから多くの人は、シモンズのことを過去の選手と見ている。だが、本人は復活に大きな自信を持っている。AP通信によると、シモンズは「準備は万端だ。僕は高いレベルでバスケットボールをプレーしたいだけだ。そして、ここでならそれが実現すると思う」と手応えを語っているという。

「自分がどういう選手で、チームを助けるために何が必要とされているのか、自分がどうやればチームを助けられるのか理解していれば、適応は簡単なことだ。ここは居心地が良いんだ。ほとんどのメンバーのことを知っているからね」

また、シモンズはクリッパーズが彼のことをポイントガードと見てくれていることを喜んでいる。「僕にとって、(ポイントガードは)真のポジションだ。フロアを見渡して、味方にイージーシュートを打たせ、ペースをコントロールしたい。ディフェンス面では闘犬になり、相手を止めてボールプレッシャーをかけていきたい」

クリッパーズでシモンズが主に求められるのは、ディフェンスだ。オールスター選手だった頃のドライブの迫力はなく、外角シュートもない今のシモンズに平均2桁得点を望むのは厳しい。だが、208cmのサイズと機動力を備え、ガードからビッグマンまで難なく守れる持ち味は貴重だ。クリッパーズのティロン・ルーヘッドコーチは「彼にとってチャレンジとなる」と、シモンズを相手のエースにつける意向を示している。

今のシモンズが、プロ入り当初のようにチームの中心選手に返り咲くことは難しい。だが、208cmのサイズ、非凡なアシスト能力を活かし、まだまだトップレベルで活躍できることはできることを証明できるのか。ここから彼は、今後のNBAキャリアをかけた踏ん張りどころを迎える。