新たなチームの強みになるはずのインサイドが崩壊危機
マーベリックスは、稀代のスーパースターであるルカ・ドンチッチを放出とするNBA史上最も不可解とも言うべきトレードを実施。ファンは当然のように、このトレードを実行したニコ・ハリソンGMに怒り心頭だ。
これからチームの成績が上向いてくれば、ファンの怒りも少しは収まるのかもしれないが、ドンチッチとのトレードで加入したアンソニー・デイビスは、デビュー戦で大活躍するも左足の内転筋を痛めて数週間の離脱を余儀なくされた。
昨シーズンこそ76試合に出場したが、その前の3年間は36試合、40試合、56試合とデイビスは稼働率が低い。マブスでもいきなりの戦線離脱と幸先の悪いスタートとなってしまった。
さらに現地2月10日のキングス戦では、オーバータイムでの128-129での敗戦以上に大きなショックが起きている。先発センターのダニエル・ギャフォードが試合序盤に右膝を負傷。自力では歩けずにコートを去っており、長期離脱の可能性も出ている。
マーベリックスのハリソンGMは、ドンチッチ放出の理由としてディフェンス力強化を一番の理由に掲げた。また、レイカーズ時代はロースター事情から本職のパワーフォワードではなく、センターでのプレーを余儀なくされていたデービスが、マーベリックスではギャフォード、デレック・ライブリー二世の存在により、パワーフォワードでプレーできることの相乗効果も期待されていた。
しかし、トレード成立直後にデイビスとギャフォードが相次いで戦線離脱、ライブリー二世も1月中旬に右足首の亀裂骨折で戦線離脱となっており、復帰時期は未定。ケガは不可抗力とは言え、チームの強みになると強調していたインサイド陣が逆に崩壊の危機に陥っており、トレード前よりチーム状況が悪化しているのは明らかだ。
ファンによるハリソンへの憎悪がたかぶる中、その神経をさらに逆撫でする出来事が発生している。キングス戦、『FIRE NICO』(ニコを解雇しろ)のメッセージボードを掲げたファンが、会場のセキュリティによって会場から退場させられ、観客からブーイングが巻き起こった。
ボードを没収するだけでなく、会場から締め出すほどの行為だったのか。マブスファンの多くはチームが批判を封じ込めるため過度な対応を取ったと受け止めている。スポーツチームは地元ファンに愛されてこそ成り立つもので、いくら強くてもファンに支持されないチームの存在価値は揺らぐものだ。マーベリックス首脳陣は、ファンの怒りを鎮めることができるのだろうか。