指揮官カー「優勝を目指しているのに実際は勝率5割」
現地1月31日のサンズ戦を前に、ウォリアーズの指揮官スティーブ・カーはこう語った。「これまでに我々の力は示せたと思うが、西カンファレンスで差を見せるには十分でないことも分かった。つまり『このままで大丈夫だ』と言える状況ではない。それが我々の置かれた現実だ。我々は優勝を目指しているのに、実際は勝率5割だ。現状に対して『健闘している』なんて言う者はここにはいない。フロントには全面的な信頼を置いている。理にかなった補強があれば実行するだろうし、そうならないとしても今のチームで戦い続けるだけだ」
カーのこの言葉は、実質的な補強の要求と見るのが妥当だろう。そのサンズ戦で互角の勝負を演じたのは第1クォーターだけ。あとは時間とともに点差を広げられて25点差で敗れた。頼みのステフィン・カリーは第3クォーター終了まででわずか6得点。その時点で19点ビハインドで、第4クォーターに8得点を追加したが勝敗を左右するものではなかった。カリーが徹底的なマークで封じられるともう手がない。それを示すような敗戦だった。
ここまで24勝24敗の勝率5割ちょうど。カーはチームのポテンシャルはもっと高いところにあり、レギュラーシーズンを戦う中でそれを引き出すのが自分の役割だと理解しているが、すべてのポテンシャルを引き出したところでプレーオフを勝ち抜くには足りないとも感じている。
数週間前にカリーは「捨て身のトレードはチームの将来を犠牲にする。僕らには将来への責任がある」と語り、カーもドレイモンド・グリーンも同調した。だが、その後も勝率5割をさまよう状況で『痩せ我慢』を続けるわけにはいかず、このカーの発言からウォリアーズは『攻め』の補強へと転じたようだ。
しかし、物事は上手く進んでいない。噂されていたザック・ラビーンの行き先はキングスとなり、ジミー・バトラーの獲得はヒートは同意してもこの先の契約問題が片付かずに頓挫したと言われている。ケビン・デュラント獲得をサンズに打診して断られたなど、真偽定かではない噂が噴出している。
ウォリアーズの進むべき道として、将来の資産を守るという選択もある。それは一見妥当に見えるし、荒療治に比べれば批判を受けることもないが、それはカリーの残るキャリアをゆるやかに破棄することを意味する。
カリーのような選手は二度と現れない。それはおそらく真実だ。長く続いた『王朝』の土台は傾いているが、いまだカリーは健在であり、それをどう生かすのかを考えるべきだ。
今ウォリアーズが模索しているのは、ルカ・ドンチッチとアンソニー・デイビスのような誰も予想できないトレードであり、ドンチッチが放出される今の世界では、カリーとドレイモンドでさえ聖域ではなく検討対象とすべきだ。
2015年、2017年、2018年に鮮烈かつ圧倒的なスタイルでNBA優勝を勝ち取り、『王朝』に翳りが見えた感のあった2022年にも4度目のタイトルを勝ち取ったカリーとウォリアーズの時代に終止符を打つのか、あるいは不格好でもしぶとく立ち回って5度目の優勝を追い求めるのか。ウォリアーズが前者を選択するのであれば、それは失望でしかない。