2ポゼッション以上離れない互角の攻防が続く
栃木ブレックスとアルバルク東京の東地区首位攻防戦第2ラウンド。初戦と同様にハイレベルな攻防が繰り広げられ、リードチェンジ10回、同点が11回というシーソーゲームを演じた。
序盤からエンジン全開のディアンテ・ギャレットが得意の独特なステップからのペネトレイトで7得点を挙げA東京がペースを握る。それでも途中出場の須田侑太郎が積極的にリングへアタックし、緩急を付けたドライブから6連続得点を決めて19-18と逆転に成功し、第1クォーターを終える。
セカンドユニットが入り混じる第2クォーターでは、潰しどころを抑える守り合いの展開に。栃木はA東京の激しいボールチェックの前に思い通りのオフェンスを遂行できず、タフショットを多く打たされる。だがライアン・ロシターが4つのオフェンスリバウンドをもぎ取り、シュート確率の悪さを帳消しに。対するA東京はジェフ・エアーズがインサイドとアウトサイドともに高確率でシュートを沈め7得点を挙げるなど、シュート精度で対抗した。
36-36の同点で後半をスタートすると、ホームの栃木が抜け出しにかかる。田臥勇太のスティールから走ったロシターを止めた伊藤大司にアンスポーツマンライクファウルがコールされる。その後も田臥のスティールから早い展開に持ち込み、ロシターのタップシュート、古川孝敏のジャンプシュートが決まって6点のリードを奪った。
しかし前日に敗戦を喫しているA東京は、流れが悪くなっても集中を切らすことなく食い下がり、正中岳城がブザービーターとなる3ポイントシュートを沈め、3点差に迫って第3クォーターを終えた。
A東京の作戦を上回るロシターの連続3ポイントシュート
56-53で始まった最終クォーター、これまで以上にディフェンスの強度が増し、セットオフェンスでノーマークを作る機会は減っていった。その中でカギとなったのはリバウンドだ。A東京は竹内譲次、トレント・プレイステッドがオフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイントを重ねる。
栃木もロシターが4つのオフェンスリバウンドでポゼッションをキープし、田臥も2連続でオフェンスリバウンドを拾いそれを得点に繋げ一進一退の攻防が続く。
均衡が崩れたのは残り時間4分を切ったところ。64-64の場面で田臥とのピック&ロールからノーマークとなったロシターが3ポイントシュートを沈める。さらにインサイドのケアを優先し外のマークが緩んだA東京のディフェンスを見抜き、ロシターは迷わず3ポイントシュートを放ち、一気に6点のリードを奪った。
栃木のヘッドコーチ、トーマス・ウィスマンは、「フィニッシュの部分が悪く、フリースローと2ポイントの確率が悪かったが、それを超える高確率の3ポイントシュート、オフェンス機会の数で勝つことができた」と18のオフェンスリバウンド、60%を超える3ポイントシュートの精度を勝因に挙げた。
様々な攻防が繰り広げられ、それでも決定打とならない接戦だったが、この終盤での3ポイントシュート連発はさすがに大きい。勢いに乗った栃木はジェフ・ギブスが得意のパワープレーで加点し、残り2分でこの試合最大となる8点のリードを奪った。
残り時間8秒、ギャレットのコースト・トゥ・コーストで72-74の2点差まで詰め寄る。だが田臥がプレッシャーがかかる中でのフリースロー2本を沈め、2ポゼッション差に広げ勝利を決定づけた。ギャレットはフリースローの2本目をわざと外し、最後の最後まで勝利への姿勢を貫くも及ばなかった。
勝利への執念を見せたA東京、連敗も「チームとして成長」
敗れたA東京の伊藤拓摩ヘッドコーチは「試合を通してオフェンスリバウンドを取られないようにと言ったが18本取られた。自分たちがやろうとしているオフェンスをしっかり反省しないと」と、勝ちきれなかった試合を振り返った。
それでも「結果的に負けたが昨日の反省が生かされチームとして成長できた。昨日言っていた、逆境に立たされた時にチームとして一丸となって戦うということができた試合でした」と、終盤に集中力を切らして失速した初戦とは違い、最後まで勝利を追い求める『貪欲さ』が出せたことを収穫に挙げた。
20得点4アシストと攻撃を牽引したギャレットは「点数は取れているが、勝負どころの得点を決めることができなかった。勝負どころで集中力を切らさず正しいプレーをしようとしたが、残念ながら今日は結果がついてこなかった」とスッキリした表情で熱戦を振り返った。
栃木は次節、東地区3強の一角である千葉ジェッツとの対戦を控える。対戦成績では3勝1敗と先行しているが、オールジャパンで敗北を喫しているだけに決して油断ならない相手だ。
A東京は試合内容に収穫があったとは言え、ここまで連敗を経験したことがなかったチームが3連敗を喫している。栃木と千葉の『潰し合い』の間に立て直し、レギュラーシーズン最後の栃木戦(5月3日)でリベンジを果たしたい。東地区優勝を考えた場合、今後は1敗も許されない。
チャンピオンシップ出場、残留プレーオフ回避に向けた戦いが続き、レギュラーシーズンは佳境を迎える。
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