ドリアン・フィニー・スミス

ハーフコートオフェンスが機能せずキャブズに完敗

レイカーズは18勝13敗と勝敗は悪くないものの、レーティングではオフェンスが13位、ディフェンスは22位と振るわず、ドリアン・フィニー・スミスとシェイク・ミルトンを獲得するトレードを実行しました。特にディフェンス面での問題を解決する狙いに対して、トレード後の初戦となったキャバリアーズ戦では効果は見られつつも異なる問題も出てしまいました。

ディフェンスのスペシャリストであるフィニー・スミスは、キャブスがピック&ロールに来ると判断すると微妙に立ち位置を変更してスクリーンが難しい形に持っていく巧みなマンマークを見せました。また、アンソニー・デイビスがアウトサイドへ引き出された際のゴール下のカバーも担当しており、初めての試合ながら個人でチームディフェンスの穴を埋めています。この試合、レイカーズはペイント内で52失点しましたが、フィニー・スミスがコートにいる時間帯は10に抑えています。

オフェンスではプットバックダンクこそ決めたものの、良いシチュエーションでパスをもらうことがなく、3ポイントシュートの成功はありませんでした。フィニー・スミスだけでなくレイカーズ全体で26%しか決まりませんでしたが、特に成功率が高いはずのコーナーから14本放ちながら成功わずか3本。ただし、このうち2本はミルトンが決めており、新戦力の2人が攻守それぞれでチームの問題を解決する可能性を示しました。

その一方でディアンジェロ・ラッセルの放出による新たな問題が明確に出てもします。前半のキャブスがベンチメンバー主体の時間帯にゾーンディフェンスを敷くと、レイカーズはアウトサイドでボールを回すだけになってターンオーバーを連発。後半はウイングを並べたスモールラインナップで解決しようとしましたが、これがレブロン・ジェームズのアクション待ちとなった周囲の足が止まり、やはりミスからカウンターを食らいました。

ハーフコートオフェンスを構築していたディアンジェロがいなくなったことで、レイカーズはチームとして崩す形が作れず、オフェンスを個人技からの展開に委ねることになりました。オースティン・リーブスが35得点10アシストとオフェンスを引っ張るも、10アシストのうち8つがレブロンかデイビスへのアシストとなっており、3人で86得点を奪いながらチーム全体に良い流れを波及させることができていません。

これまでディアンジェロは136のアシストを記録しましたが、レブロン、デイビス、リーブスへのアシスト数は63本と全体の半分以下。これは他のチームメートを上手く巻き込んでいたことを意味しており、またディアンジェロのパスから放つ3ポイントシュートは41%と高確率で決まっていました。3ポイントシュート成功率に苦しんだ今回の試合は、シューターだけでなくパサーにも課題がありそうです。

良い部分も悪い部分もあったトレード後の初戦でしたが、フィニー・スミスの特徴であるディフェンス面を優先して改善すべきです。この試合は20分の出場に留まりましたが、連携面の不安が解消すればより長いプレータイムを与えられるでしょう。同時にオフェンス面の問題がより強くなるのであれば、トレードデッドラインでポイントガードの補強も考える必要が出てきます。これから約1カ月の間にチームが機能する形を見つけられるのかどうか、1試合1試合が重要なテストになってきます。