「強みであるディフェンスが勝因だったと思います」
ウインターカップ2024の大会2日目を代表する好カードである岐阜女子と東海大福岡の強豪対決は、50-46で岐阜女子がロースコアの激闘を制した。
両チームはインターハイの準決勝で対戦し、この時は岐阜女子が48-47と辛くも勝利。その後、U18トップリーグでは東海大福岡が74-58とリベンジに成功している。戦前の予想通り、出だしから両チームともに足が良く動くディフェンスで相手にタフショットを打たせることで互いに得点が入らない。その中でも東海大福岡のチャラウ・アミが前半で13得点と、インサイドで違いを生み出すことで岐阜女子は25-29とリードを許して前半を終える。
後半に入っても守り合いの展開が続くが、岐阜女子は第3クォーター中盤、安藤美優と小松美羽による連続3ポイントシュート成功と、ここまで不発だった長距離砲にようやく当たりが来ることで34-29と逆転する。その後、東海大福岡の粘りにあって僅差の展開が続くが、岐阜女子はずっとリードを維持。そして残り26秒、ここまでゴール下へのドライブを決めきれずにいた三宅香菜が値千金のレイアップを決めることで粘る東海大福岡を振り切った。
岐阜女子の安藤は、40分のフル出場でチームトップの15得点に4リバウンド3アシスト3スティールと攻守にわたって活躍。「自分たちの強みであるディフェンスが勝因だったと思います。持ち味であるディフェンスからのブレイクを徹底してやり続けることができました」と試合を振り返っている。
負けたら終わりのトーナメントでの初戦はどのチームにとっても難しく、しかも相手はすでに1試合をこなしている強豪の東海大九州だ。その上で第1クォーター終盤に6-13などビハインドを追う展開となれば、平常心を失ってもおかしくはない。
だが、安藤は、「ディフェンスから流れをつかむ、自分たちのプレーをできていたので焦りはなかったです」と笑顔を見せた。そこには、自分たちのやるべきことを継続していれば必ず自分たちの流れに来るという確固たる自信がある。
スモールラインナップが新たな武器に
また、オフェンスについても「ディフェンスから流れを作って積極的にペイントアタックをして、打つべきところで打てていました」と語る。安藤の言葉通り、最後に勝負を決めた三宅のレイアップは積極性を失うことなくゴール下へとアタックを続けたからこそ生まれたものだ。そしてゲームハイの得点を挙げた自身のプレーについて「ここぞという時は、自分がやるという思いでいつもプレーしています」とエースの覚悟を見せる。
岐阜女子は、インサイドの要であるディヤイ・ネイが膝の故障で万全でなく、この日もベンチスタートとプレータイムを制限せざるを得ない。だが、ネイがコートにいない時でも、日本人選手の大きくて170cm台前半の選手で構成するスモールラインアップは抜群の機動力と連携で、高さの不利を全く感じさせない堅守を披露できている。この試合でも東海大福岡のアミを後半に限れば4点に抑え込んだ。
安江満夫ヘッドコーチは、「いつも言うことですが、2点取ることと2点守ることは全く一緒です」とディフェンスへのこだわりを強調する。そして、スモールラインナップにも「サイズが小さい中でも十分に戦える目処が立って、選手が自信を持ってコートに立てていることは大きいです」と手応えを語る。
岐阜女子にとっての理想はネイができるだけ良いコンディションで長い時間コートに立つことだ。だが、日本人選手のみによるスモールラインナップは完成度を増しており、このラインナップだからこそ可能な戦術、よりスピードを増したトランジションという新たな強みも生まれている。昨年のウインターカップ、今年のインターハイともに準優勝とあと一歩で頂点を逃している岐阜女子にとって、スモールラインナップこそが壁を乗り越える切り札になるかもしれない。