「みんな万全で日本一になれる自信があります」
『Softbank ウインターカップ2024』女子準々決勝、精華女子(福岡)は桜花学園(愛知)との激闘を66-65で制し、チーム初となる4強入りを果たした。
試合は序盤から長らく互角の展開となった。精華女子は第3クォーター序盤、31得点を挙げたアキンデーレ タイウォ イダヤットがゴール下を支配し突き放しにかかるも、桜花学園も1年生ポイントガードの竹内みやのドライブでズレを作り出して得点を挙げるなどして反撃し、第3クォーターは50-50の同点で終了。
第4クォーターに入っても一進一退の攻防は続く。精華女子はアキンデーレのインサイド以外でなかなか得点が奪えない状況となり、桜花学園のエース阿部心愛の得点で残り5分で5点ビハインドと悪い流れに陥るが、守備から得意のトランジションに持ち込み盛り返す。そして1点差を追う残り1分、アキンデーレの得点によって土壇場で再逆転に成功すると、最後まで強度の高いディフェンスでリードを守り切り、激闘を制した。
精華女子の攻守の要である清藤優衣は、「勝因は全員で守り切ったディフェンスとリバウンドにあると思います。絶対に我慢して、流れが来るまで待とうと話をしていました」と振り返る。
そして何よりも、気持ちの強さが勝利をもたらしたと強調する。「コートに出ている選手、ベンチの選手、応援している人。誰1人、負けるなんて絶対に思っていなかったです。勝つことを信じ続けて、最後まで戦い続けられたことが良かったと思います」
これまで精華女子はウインターカップでは8強が最高成績と、実績では対戦相手である桜花学園のような強豪からは大きく劣っている。今夏のインターハイでも16強止まりだった。だが清藤は、日本一になれるという揺るぎない自信を持って、今、コートに立っている。「インターハイはコンディション不良者が多くて、良い状態で試合に臨めませんでした。ウインターカップはみんな万全で日本一になれる自信があります」
さらに清藤は夏からの大きな成長として、アキンデーレとの連携向上を挙げる。「コミュニケーションが難しい部分もありましたが、できるまで細かく練習したりしました」と振り返る成果を、この試合でも存分に発揮した。
「さらに新しい歴史が作れるので、メインコートの舞台を楽しみたい」
日本一になれる、という清藤の自信はチームメートへの大きな信頼にも繋がっている。U17日本代表の経歴が示すように、清藤はチームの絶対的な中心選手で「エースとしてやっていますが、相手のエースを守ることも自分の仕事です」と話す攻守の要だ。この試合は阿部を密着マークでよく防いでいたが、オフェンスは「まったく自分のプレーができなくて、レイアップに行っても苦しいシュートになってしまいました」と話すように波に乗り切れなかった。
そのような状況でも、ここ一番で強引に自分で仕掛けるのもエースならではの選択肢だが、清藤は「自分がずっと起点で攻めなくてもやってくれる仲間がいるので任せました」と語る。実際、第4クォーター終盤は、下川蒼乃や宮﨑陽向がチームで崩してから貴重な得点を挙げた。
チーム初のベスト4進出を果たした精華女子は、明日初めてセンターコートでプレーする。大舞台を前に、清藤に緊張はまったくない。「今日、先生(大上晴司コーチ)が試合前、『歴史を変えよう』と言ってくださいましたが、次に勝てばさらに新しい歴史が作れるので、メインコートの舞台を楽しみたいです。メインコートは自分たちの応援、プレーもたくさんの方に見てもらえるので楽しみで仕方ないです」
自分たちは日本一を取れるという自信は、清藤だけでなくチーム全員の共通認識だ。準決勝の相手は、3連覇を目指す大本命の京都精華学園(京都)だが、誰もひるむことはない。この試合、8得点6アシスト4リバウンド3スティールと攻守で躍動した中釜光来は「明日は京都精華さんで、『精華対決』となります。自分たちが精華と呼ばれるように絶対に勝ちます」と力強く語る。
大きな自信を持ってウインターカップに入り、試合を重ねるごとに自信を深めている精華女子の快進撃はまだまだ続くのか。明日の準決勝が楽しみになる今日の戦いぶりだった。