「今年みたいな強いチームをもう一回作りたいです」
『Softbank ウインターカップ2024』女子準々決勝、鵬学園(石川)は京都精華学園(京都)を最後の最後まで追い詰めたが、わずかに届かず62-65で敗れた。
鵬学園は第1クォーターにビハインドを背負うも、そこから反撃開始。留学生のヌドゥブエゼ・オニニエチ・グレイスが身体を張ったディフェンスとリバウンドで相手の勢いを止め、キャプテンの下地李采と2年生ガードの山本弥音がメリハリの利いたオフェンスで交互にチャンスを作り出しては得点を重ね、後半開始から7-0のランで逆転に成功した。
それでも京都精華学園には女王の余裕があった。悪い流れをベンチから出た下級生たちが断ち切り、ベンチでしっかり休養を取って精神的にも切り替えた主力が再び自分たちの流れを作り出す。
京都精華学園の橋本芽依は言う。「鵬学園は強いチームで、これまでみたいに簡単に点差が開くことはないと思って試合に入っていました。だからあわてることはなかったし、今年はベンチメンバーも強いので、その時間帯もみんなを信頼していました」
それでも第4クォーターになって鵬学園は再び攻守のギアを上げる。グレイスが個人ファウル4つになってもディフェンスとリバウンドの強度を下げずに踏ん張り、逆に京都精華学園のユサフ ボランレ アイシャットをファウルアウトに追い込む。それを機に9点差から追い上げ、残り1分を切って速攻から山本の3ポイントシュートで62-65と1ポゼッション差に迫る。
残り10秒、決死のディフェンスで京都精華学園のターンオーバーを誘った鵬学園に最後のチャンスが訪れる。ここから走った山本が、決まれば同点となる3ポイントシュートを狙い、背後から止めようとした相手からファウルを受けたかに見えたがノーコール。最後に下地がタフな3ポイントシュートを放つも決まらず試合終了となった。
グレイスはファウルトラブルで26分のプレーに留まり、4得点18リバウンド。京都精華学園のセンター陣に強みを発揮できなかった。それでも接戦を演じることができたのは、留学生の強みを生かしつつも頼らないチームバスケができていたからだが、24得点8リバウンドの下地は38分半、15得点の山本は39分、山田真緒は40分フル出場と日本人選手の主力の負担が大きかった。下級生のセカンドユニットが活躍した京都精華学園との選手層の差が勝敗を分けた。
それでも、インターハイとU18日清食品トップリーグで圧倒的な強さを見せた京都精華学園を相手に、素晴らしい戦いを演じたことに変わりはない。「相手が強いのは分かっていましたが、名前に臆することなく自分たちのバスケをやろう、絶対に勝とうと話し合って試合に入りました」と山本は振り返る。
山本は「決めるべきところで決められなかったシュートがいっぱいありました。優勝したかったんですけど、自分に力が足りませんでした」とも語り、24得点を挙げたキャプテンの下地を引き合いに出して言った。「最後は気持ちでプレーしていたんですけど、私がアタックに行けないところでも下地さんは思い切り良く攻めていて、そこが自分はまだまだだと思いました」
主力の多くが3年生で、これでチームを去ることになるが、2年生の山本は涙を流しながらも『次』に向けた決意を語った。「今年みたいな強いチームをもう一回作りたいです。今年以上に自分が引っ張っていきます」