相思相愛の関係は終わったが、これが正しい『凱旋』の姿
テレンス・ロスの存在は、トロントのファン、そしてラプターズにとって大きなものだった。2012年のドラフト全体8位でラプターズから指名されたロスは、抜群の身体能力と正確なロングシュートを武器にチームの躍進に長らく貢献。球団史上最長の4年連続プレーオフ進出を決めたラプターズにとっては、手塩にかけて育てた選手であり、大切な生え抜きでもある。エースのデマー・デローザンに負けず劣らず重要な選手だ。
だが、NBAは非情なビジネススポーツである。たとえエースだろうとトレードや退団の可能性があることは、選手全員が理解している。かつては東カンファレンス中位程度のチームがエリートレベルに成長した姿を間近で見続け、NBA優勝に向かう大きなプロジェクトの一員だったロスは、2月のトレードデッドラインを前にサージ・イバーカらと交換でマジックにトレードされた。
トレードされた後、初めてトロントに戻った3月27日、ラプターズの選手とコーチ、そしてトロントのファンは、功労者ロスへの感謝を示した。
大歓声で出迎えられたロスとの再会を誰よりも喜んだのは、同じ生え抜きのデローザンだった。
Reunion in Toronto. #NBAGIF #ThisIsWhyWePlay pic.twitter.com/9WUsjztUvN
— NBA (@NBA) March 27, 2017
2人は試合前にコートで力強く抱き合い、言葉を交わした。そしてラプターズも、5年在籍したロスの功績を称える記念映像を製作。試合開始から最初に取られたタイムアウト中、会場のスクリーンで流した。
Welcome home, @tflight31. #WeTheNorth pic.twitter.com/sqnX7m5wH1
— Toronto Raptors (@Raptors) March 27, 2017
新人の2013年にはオールスターウィークエンドの『ダンクコンテスト』で優勝したロスは、試合でもたびたび豪快なダンクで会場を沸かせた。ファンへの感謝の気持ちだったのだろう。第3クォーター終盤、ロスは360°ダンクを披露している。
?? Terrence Ross 360 ?? pic.twitter.com/yWhvE6i86T
— CBS Sports NBA (@CBSSportsNBA) March 28, 2017
プレーオフ進出常連となったラプターズとは異なり、再建途中にあるマジックでプレーすることになったロスだが、トレード後は出場時間も増加。マジックでの15試合では、キャリアハイの平均12.3得点を記録している。