文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

「あれを落とすようじゃまだまだダメ」と苦笑い

週末に行われたアウェーの千葉ジェッツ戦は連敗。折茂武彦は得意のミドルシュートを徹底的にケアする相手の守備にリズムを狂わされ、第1戦で9得点、第2戦は6得点と不発に終わった。

昨日行われた第2戦、チームは苦しみながらも千葉に食らい付き、第4クォーターの残り1分9秒、86-94という場面で折茂にボールが渡る。迷わず狙った3ポイントシュートが決まれば5点差、相手にプレッシャーを与えられるところだったが、このシュートもリングに嫌われた。折茂は「あれを落とすようじゃまだまだダメだと思います」と、わずかな苦笑とともにこのシーンを振り返る。

「第1クォーターで自分にもターンオーバーがあり10点離されて、自分たちのリズムを作れないまま前半が終わってしまいました。後半は非常に良くやっていたのですが、如何せんディフェンスができず、千葉さんに昨日は98点、今日は100点ゲームをやられてしまった。ここまで点数を取られてしまうと、ウチがどれだけ取っても勝てません」

それでも、千葉のオフェンスが特別に好調だったことを考えると、終盤まで食らい付く戦いぶりは評価できる。年明けのリーグ中断期間明けからは10勝8敗で、7勝22敗だった年末までとは大違いだ。

シーズンが深まるにつれ向上するチームのパフォーマンスには、折茂も「交流戦では上の6つに入っているわけですから、非常に良い戦いができていると感じています」と手応えを感じている。

ディフェンスは確かに課題だが、オフェンスの質ではリーグ上位の千葉にも見劣りしなかった。「そうですね、ケガ人が戻って来て、チームとしての合わせなど細かい部分が修正されて、得点につながる場面を多く作れました。ケガ人が多い時はファストブレイクも制限して、温存しながらハーフコートの戦いをしていたんですが、今はメンバーが揃っているので速い展開もできるし、いろんなバリエーションが出せています」

下を見れば3ゲーム差で5位の秋田、まずはB1残留が目標

前半戦のある時期、北海道は故障者が重なり練習での5対5ができない、リーグ規定の最少メンバーを揃えられないという『非常事態』が続いた。残っている選手への負担も大きく、本来は切り札としてプレーする46歳の折茂が先発し、30分前後の『出ずっぱり』を強いられる状況。年末年始の中断期間でどうにか立て直したが、あの時期がなければ今ごろ、チームはもっと高い目標のために戦えていたはずだ。

結果的に東地区は完全なる『3強3弱』の構図。4位の北海道の上にいるのは千葉だが、16ゲームと埋められない差がある。下を見ると5位の秋田ノーザンハピネッツまで3ゲーム差、まずは『3弱』から抜け出し、B1残留を確定させることが目標になる。

「当然、残留しなければならないと思っています。下が離れているとは思っていませんし、まだ試合数もあるので、チームとしては残留を目指します。ただ、当然ながら上のレベルを目指していくのは当たり前のことなので、それもしっかりやりながら、です」

まず必要なのはディフェンスの修正だ。「ここまで我々はディフェンスをきっちりやって、失点を抑えて勝つゲームをしてきました。それが今回の千葉戦でかなり崩れてしまったので、今後修正していかないと東地区の戦いが厳しくなってきます。今日は秋田(ノーザンハピネッツ)さんも勝っているので」。そう語る折茂に油断はない。

残留決定後は、来季以降を見据えた『上のレベル』の戦いへ

千葉への遠征にはジョーダン・バチンスキーがケガで不参加となった。「彼が戻ってくればリバウンドの部分ではもっと戦えると思います。ただ、いつ戻れるか分からないので、その間はチームでカバーして戦っていくしかないです」と折茂は言う。

どのチームも多かれ少なかれケガという不確定要素に悩まされているが、北海道はその最たるチームだろう。だが、最悪の時期は脱した。若い選手たちが自信を取り戻していることも、千葉との戦いぶりからは明らかだった。まずはこの良い流れを継続させて残留を決めること。その後は来季以降を見据えた戦いとなる。

東地区の『3強』である栃木ブレックス、アルバルク東京、そして千葉とは、レギュラーシーズン終了までに1節ずつ直接対決を残している。開幕からここまで『3強』相手にはすべて4戦全敗と全く振るわないが、この週末の千葉戦ではそれなりの手応えが感じられた。残留決定後をガベージタイム(勝敗が決した後の残り時間)にするのではなく、『3強』の構図に割って入るための戦いだと選手全員が認識できれば、北海道はもっと強くなれるはずだ。

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