ジョシュア・スミスを軸に怒涛の反撃
富山グラウジーズを横浜文化体育館に迎えた横浜ビー・コルセアーズにとって今シーズン最後のホームゲーム。昨日の第1戦、横浜は立ち上がりの出遅れから猛反撃を見せるも97-99で一歩及ばず。それだけに今日は、試合開始とともにエンジン全開で第1クォーターから22-9と富山を圧倒し、試合を支配した。ところが後半に崩れ、何とかリードを保ち続けるもラスト33秒で逆転を許すと、反撃のシュートが決まらず72-75で敗戦。他チームの結果次第ではあるが、残留プレーオフ回避は相当厳しくなったと言わざるを得ない。
序盤に主導権を奪うことのできた要因はディフェンスだった。特に富山の大黒柱であるジョシュア・スミスに自由を与えず、宇都直輝のトランジションも走り負けずに対応したことで、富山の攻めをレオ・ライオンズの個人技だけに封じた。こうして相手の出鼻をくじくと、攻めに転じては中村太地がアタックでズレを作り、アーサー・スティーブンソンのゴール下、川村卓也への合わせへと繋いで快調に得点を重ねていく。
前日はファウルトラブルに陥ったライオンズの穴を山田大治が埋めたが、この日は調子の上がらないスミスに代わってゴール下を守った山田をスティーブンソンとブランドン・コストナーが狙い打ちにして得点を積み上げていく。前半を終えて41-24。スミスを沈黙させ、3ポイントシュートも成功なしと、横浜が富山の持ち味を完全に封じていた。
ところが後半、両チームの立場は逆転する。富山を率いるロナルド・ベックは、ハーフタイムに「すべてのポゼッションが大事、オフェンスもディフェンスも無駄にしないようにしよう」と選手に声をかけていた。もっとも、これは横浜も同じで、湊谷安玲久司朱は「ここでエナジーを落としたらいけない、もっと上げていこう」と声を掛け合っていたと明かす。
だが、富山が自分たちのバスケットを取り戻したのに対し、横浜は突如としてブラックアウトしてしまう。スミスの強引な突進を止めるディフェンスがことごとくファウルになったのを機に、リズムが崩れた。スミスがインサイドで軸となったことで、リバウンドからの速攻も出始める。スミスは前半の鬱憤を晴らすパフォーマンスを披露。横浜はダブルチームで対応するが、そこからパスをさばかれてはミスマッチを突かれ、外を警戒すれば今度はスミスに押し切られた。
横浜は11連敗「やるべきことを徹底できない負け」
第3クォーターを終えた時点で56-48とリードする横浜は、スティーブンソンとコストナーに加え、帰化選手のエドワード・モリスを同時起用するビッグラインナップで対抗するが、勢いに乗ったスミスはそれでも止められない。水戸健史の3ポイントシュートから幕を開けた最終クォーター、それ以降の富山はスミスとライオンズの2人だけで19得点を積み上げた。
残り6分、スミスのバスケット・カウントで一度は追い付かれた横浜も、B1残留に向けて粘りを見せる。残り1分で70-70、ここから川村がタフショット気味のミドルジャンパーを沈めて72-70と再びリードを奪う。
続く富山の攻め。宇都に代わってこの勝負の時間帯を任されていたポイントガードの阿部がコールしたのは、スミスにシュートを打たせるが、ダメであれば自分が外から狙うプレーだった。
「スミスが警戒されるのは分かっていたので、自分で決めてやろうと思っていました。よくあそこで自分で打ったな、と後からみんなに言われましたが、ここで3点を取れば相手にとって一番ダメージが大きいと考えました」と阿部は明かす。必ずしもシュートタッチが良かったわけではないが、ずっとスミスとライオンズで攻め続けていたため、横浜ディフェンスの注意はそちらに集中していた。迷わずに放った阿部の3ポイントシュートが決まり、残り33秒でこの試合初めてのリードを奪った富山は、ファウルゲームを危なげなく乗り切って75-72で勝利した。
横浜はこれで11連敗。ホーム最後の連戦は、2点差、3点差と惜敗が続いた。トーマス・ウィスマンヘッドコーチは「言い訳のできない負け、自分たちのやるべきことを徹底できない負け」と吐き捨てる。「大事な時間帯に徹底できずに外を空けてしまい、シューターに決められてしまう。第4クォーターは向こうの外国籍選手が19得点、こちらは4得点。必要な時間帯、必要なストップができない。勝つために必要なプレーができないことに責任を感じる」と課題ばかりが出た。
富山は苦しみながらも連勝。特に今日の逆転勝ちは意義のあるもので、チャンピオンシップ進出の可能性をギリギリながら残している。
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