ジュリアス・ランドル

「落ち着いていつも通りのシュートを打つんだ」

117-117の同点で迎えた残り2.1秒、ティンバーウルブズの最後の攻め。ファーストオプションはアンソニー・エドワーズのリムアタック、セカンドオプションがジュリアス・ランドルのシュートだった。ボールを入れるジョー・イングルスは、エドワーズはボールを受けてもリングに向かえないと判断してランドルへのパスを選択した。

ランドルは3ポイントラインに近付きつつ、シュートを打つためのスペースを作り出そうと腕でジョシュ・オコーギーをブロックする。オコーギーはオフェンスファウルをもらおうと一歩退いたが、ここは我慢して貼り付いておくべきだった。

「これで彼はコンテストに来れない。『いいぞ、落ち着いていつも通りのシュートを打つんだ』と自分に言い聞かせた。僕はこのシュートを1000本は打ってきているんだ」。そうランドルが振り返るシュートはクロックが0になった瞬間に彼の手から放たれ、ブザーが鳴り響く中でリングへと吸い込まれた。

両腕を広げてアピールするランドルの胸に飛び込んだエドワーズは、「決めると分かっていたよ。これまでニックスと対戦するたびに苦しめられてきたんだ」と言う。次にマイク・コンリーが祝福の抱擁に来て、チームメートがランドルを取り囲んだ。

「チームメート全員で喜びを分かち合うのは良いものだ。このチームは結束力がとても強く、お互いの成功を祝うことができる。僕にとってはそれが一番うれしいことだ」とランドルは語る。「みんな『思い切って攻めろ』と僕の背中を押してくれる。僕はその言葉通りに試合をコントロールしようとした」

第4クォーター残り3分半の時点で107-114とビハインドを背負っていたが、そこから10-3のランで追い付いた。エドワーズがクラッチシュートを次々と決め、ジェイデン・マクダニエルズがメイソン・プラムリーの上から叩き込むポスタライズダンクもあった。そして最後はランドルのゲームウィナーで逆転勝利。指揮官クリス・フィンチは「気持ちが切れてもおかしくない場面が何度もあったが、選手たちはあきらめなかった。自分たちのリズムを取り戻すまで戦い続けた選手たちが誇らしいよ」とチームの戦いぶりを絶賛した。

サンズはケビン・デュラントがふくらはぎのケガで戦線離脱し、この試合ではブラッドリー・ビールも欠場。デビン・ブッカーが44得点を挙げ、ロールプレーヤーの奮起もあってほとんどの時間帯でリードしていたが、クラッチタイムにスター選手不在の影響が出てしまった。開幕から8勝1敗と最高のスタートを切ったが、デュラント離脱から1勝4敗。エース不在のダメージはあまりにも大きい。