トレイ・ヤング

ブーイングするニックスファンにブーイングをやり返す

ニックスは昨シーズンの躍進に加えて今オフの大型補強で優勝候補と見なされていた。一方でホークスはデジャンテ・マレーを放出し、長年チームを引っ張ってはいるが勝利に恵まれないトレイ・ヤング、ドラフト全体1位指名選手ではあるが去年の『超大物』に見劣りするザッカリー・リザシェイでは地味な印象が拭えない。

それでも現地11月6日、アトランタでの両者の対戦は、接戦ではあれどほとんどの時間帯でホークスがリードし、クラッチタイムの競り合いもトレイ・ヤングの活躍で上回って121-116の快勝を収めた。

リザシェイは3ポイントシュート6本成功を含む33得点、キャリアハイのド派手な活躍を見せ、23得点10アシストのヤングはチームを勝利へと導いて、過小評価を覆した。

リザシェイはヤングに「いつだってシュートを打てと勇気付けてくれる」と感謝する。「彼だけじゃなくチームメートもコーチもそう、みんなが僕に自信を持たせてくれるんだ」

そしてヤングは「いずれ爆発するのは予見できていた」とリザシェイについて語る。「そのプレーを見れば、これからもそうなると予測できる。簡単なことじゃない。僕だってルーキーイヤーの最初数か月は苦労した。それでもシーズン後半にはルーキー・オブ・ザ・イヤーの候補に挙がった。特に1年目は好不調の波があるものだけど、常にポジティブであり続け、正しい道を進んでほしいと思っている」

ヤングはホークスのリーダーとして、今のチームにはお互いを信頼し支え合う雰囲気があると語る。「僕はみんなからの信頼を感じているし、逆も同じ。チームの上から下まで全員を信じている。だから今日みたいに強敵を相手に苦しい戦いを強いられ、何度も逆転されたけど、勝つ方法を見いだした」

快勝を収めた相手がニックスというのも、ヤングにとっては意味がある。ヤングはニックスのファンから徹底的に嫌われている。今回は敵地マディソン・スクエア・ガーデンではなくホームゲームだったが、ここにもニックスファンは現れて『f**k trae young!!』を叫んだ。試合後のコートインタビューで「ニックスのファンはさっさと帰れよ」とヤングは笑いながら言う。これに対し何人かのニックスファンがブーイングすると、ヤングは「ブゥー!!」と自らブーイングを返し、ホークスのファンに「ブーイングしてやれ。全員帰らせろ」と煽った。

会見でもヤングは「ニックスとの対戦はいつも楽しいよ」と饒舌に語った。「アトランタでの試合では、やつらがどれだけ仲間を集めたところでこっちが多数派だ。彼らの叫び声にイライラしているファンは多いだろう。僕はただ試合に勝とうとする。ファンに伝えたいのは、勝ったらもっと騒いでほしいってことかな」

もっとも、今回の勝ちは『まず1勝』に過ぎない。レギュラーシーズンの対戦はまだ3回あり、1月に行われる敵地での対戦は、今回のヤングの『煽り』に反応してニックスファンの敵意はさらに過激になるはずだ。2月と4月にも対戦はあるが、このカードがプレーオフで再び実現するのが楽しみだ。