細川一輝

攻守で滋賀を圧倒し37点差の大勝

11月3日、群馬クレインサンダーズvs滋賀レイクスの第2戦がオープンハウスアリーナ太田で開催された。前日の第1戦は接戦の末、1点差で群馬が勝利したが、第2戦は高確率でフィールドゴールを成功し続けた群馬が102-65の大差で勝利し、連勝を4に伸ばした。

試合後にカイル・ミリングヘッドコーチが「ディフェンスもオフェンスも選手全員が関わって40分間プレーすることができました」と話した通り、終始群馬の選手は集中を切らさなかった。試合開始直後の1分間で江原信太朗に連続3ポイントシュートを許しビハインドを背負ったが、インサイドを的確に攻めてすぐさま逆転。第1クォーターは拮抗した展開となったが、終了間際に細川一輝が3ポイントシュートを沈めて24-20とし、会場を大きく盛り上げる。

第2クォーターは、インサイド攻勢の前クォーターから一転して3ポイントシュート攻勢に。特に細川は4本中3本の3ポイントシュートを成功させてリードすることに貢献した。後半が始まると辻直人が連続8得点を挙げて、一気に2桁点差に広げると、そのまま攻め手を緩めることなく試合終了まで点差を広げ続けて37点差の大勝を飾った。

2ポイントシュートの成功率は75.8%、3ポイントシュートは54.2%と高確率だったことが勝因の1つとなったが、ミリングヘッドコーチは「群馬にはシューターはたくさんいますが、ボールを動かした中で打てる選手が打つということを目指しています。結果に繋がっているので、そこが上手くできたました」と評価した。

細川一輝

「チームメートが見つけてくれるので、決めなければいけない」

この試合、ベンチスタートながら22分4秒と日本人最長出場時間で、トレイ・ジョーンズと同じチームトップの16得点を挙げたのが細川だった。武器である3ポイントシュートは7本中4本を成功させてバックコートの得点源となった。

三遠ネオフェニックスから移籍してきた新加入選手だが、タレント揃いの群馬においても1年目でチームにフィットし存在感を示している。元々キャリアを通じて高確率の3ポイントシュート精度を誇るが、今シーズンもここまで43.6%を記録。B1全体でも60本以上試投している選手の中で40%を超えているのは細川のみで、圧倒的な成功率だ。成功数でも千葉ジェッツの富樫勇樹と並び29本で、日本人選手の中では1位タイとなっている。

「思い切って打てていますし、チームメートが見つけてくれているので、そこで決めなければいけないと思ってやっています。昨日はノーマークでも決められないことがありましたが、今日は切り替えて決めることができてよかったです」と語るように、チームメートとの信頼関係を大事にしていることも好調の要因の1つのようだ。

かの有名バスケ漫画でも語られたことだが、シューターがシュートを打つまでには、ビッグマンがスクリーンをかけてディフェンスをはがし、ガードが的確なパスを供給してくれることでより良い形を築くこと過程が存在する。この試合でも細川をフリーにするために何枚ものスクリーンがかかり、それに応えるように細川は走り、シュートを決めた。

チームから信頼され、細川に打たせるためのセットプレーも存在しているが、当然すべてのシュートを成功させられるわけではない。実際、宇都宮ブレックス戦や京都ハンナリーズ戦では勝負どころのシュートを外し悔しい思いをしている。「気持ちとしても波を作っちゃいけないと思っています」と話す通り、チームの期待に応えるために安定感を常に考えている。感情を大きく表さないプレースタイルや、物腰柔らかく話す姿はそのためのものであるかのようにも感じる。

細川一輝

「細かいところをしっかりやっていけば、もっと良くなる」

今シーズン、細川とチームメートを語る上で欠かせないのは辻の存在だろう。群馬に加入した理由の1つに、チーム内のプレータイムを競う相手に辻がいたことを挙げていた。日本を代表するシューターと言っても過言ではない辻から良い影響を受けているようだ。

辻は前節の川崎ブレイブサンダース戦では2試合で41得点を挙げ、今節は細川ではなく辻が先発起用された。この試合でも放った3ポイントシュートを3本すべて成功させてチームに勢いをもたらした。細川も負けじと活躍したのは前述の通りだが、この関係を細川はこう語る。

「役割はちょっと違いますが、同じポジションなので負けたくないです。辻さんはどう思っているのか分からないですけど、チームメートですがライバルとして超えていかないというモチベーションでやっています」

シューターとしてのイメージが強い細川だが、フィジカルを生かしたディフェンスも武器の1つだ。昨シーズンに広島ドラゴンフライズで鉄壁のディフェンスを築き、王者に上り詰めたミリングヘッドコーチは当然ディフェンスを重要視している。「毎試合成長が見られている」とミリングヘッドコーチが評価するように、この試合でも65失点に抑えている。

個々のディフェンスの重要性は大前提として、細川はチームで守ることを念頭に置き、次のように現在地を見ている。「相手のピックの時に周りが空いてしまったり、センターもハードに出れなかったり遅れてしまうことがまだまだあります。そこを突き詰めないと、上位チームにはその隙を突かれてしまいます。細かいところをしっかりやっていけば、もっと良くなって、相手がやりたいバスケができないんじゃないかなと感じています」

中2日で行われる次節の対戦相手は現在リーグ最高勝率の千葉ジェッツだ。今節、秋田ノーザンハピネッツに敗れた千葉Jにとって、ホーム開催の次節は絶対に負けられない試合となるだろう。そんな状況での対戦だが、細川は臆せずに戦う姿勢を見せる。「地区1位のチームですし、新しいアリーナが出きて楽しみです。強いチームとやる時は、みんないつも以上にモチベーションが上がるので、出だしからしっかり当たっていき、良い流れを作って勝利できるように頑張ります」