河村勇輝

ボールプッシュから即座に仕掛ける判断の良さが光る

グリズリーズの開幕2試合目、敵地でのロケッツ戦の残り3分半で河村勇輝にNBAデビューの機会が訪れた。開幕戦でジャズに快勝を収めたグリズリーズは、今回も優位に立っていたが、第3クォーター途中にエースのジャ・モラントが足を痛めて一度ベンチに下がったところで勢いを失い、モラントが戻って来るまでの約5分間で1点リードが13点ビハインドへと変わっていた。

83-98で迎えた第4クォーターも劣勢は変えられず、18点ビハインドの残り7分でモラントをベンチに戻し、他の主力も下げていった。開幕戦ではベンチ入りメンバーで唯一出番のなかった河村は、この試合でも長くベンチで待つことになったが、残り3分半にその時は訪れた。スコッティ・ピッペンJr.との交代で、背番号17はコートに入り、日本人選手としては4人目の、Bリーグを経由した日本人選手では初のNBAデビューを飾った。

残された時間はわずか3分半で、本来であればボールプッシュから速い流れを作ってチャンスメークしたいところだが、味方からパスが出ずにその機会が訪れないまま時間が過ぎていく。

それでも残り1分20秒の場面、ジェイ・ハフからボールを預けられた河村は、ロケッツがディフェンスを整える前に仕掛けることを即座に判断し、アーロン・ホリデー相手にアタックを仕掛けると見せかけて相手を引き付け、フリーになったジェイレン・ウェルズにパスを送る。速すぎる仕掛けにウェルズは一瞬戸惑った感もあったが、そこは同じルーキーでプレシーズンでも一緒にコートに立つ機会が多かった仲。万全の体勢ではなかったがゴール下の得点を決め、河村にはうれしい初アシストが付いた。

アピールする時間は十分ではなく、試合は108-128で終了。短い時間でももう少しボールを持ってクリエイトする機会が欲しかったところだが、唯一のチャンスをアシストに繋げたことで成果は得られた。

それでも、トレーニングキャンプ契約から2ウェイ契約を勝ち取り、NBAの舞台に立ったこと自体が偉大な成果と言うべきなのは間違いない。今後も河村が良いアピールで信頼を勝ち取り、このチームでの居場所を確保していくことを願いたい。