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コービー「優勝できなければ敗者だ」

レイカーズ一筋20年というキャリアに終止符を打ったコービー・ブライアン卜。彼は現役時代を通して、日々の練習からチームメートを徹底的に追い込み、そのベストを引き出そうとしてきた。

必要とあらば、耳の痛いことも躊躇せず本人に直接伝え、試合中でも衝突を恐れず言葉と態度で表し、レイカーズ黄金期を作った。

現代のNBAではあまり見られないタイプとも言える。しかし、ブライアントは、『San Francisco Chronicle』紙の取材に応じた際、現役時代の自分に近い選手として、ウォリアーズのドレイモンド・グリーンを挙げた。

2015-16シーズン序盤からメディアを通じ、グリーンについてしばしば言及するようになったコービー。2016年のオールスターゲームで直接本人と話し、それから時々電話で連絡を取り合っているという。

ブライアントは言う。「ドレイモンドは、今の時代には珍しいタイプなんだ」

「彼は根っからの競技者で、それを周りにアピールすることを恐れていない。チームメート、それに対戦相手にとって不快なことでも、必要とあればはっきり言う。彼はチャレンジャーなんだ」

「周りのことなんて気にしていられない。ベストを尽くすことが仕事なんだから。外の世界の人間が言うことなんて、的外れも良いところ。バスケットボール以外のところでは良い性格になれるだろうけれど、優勝できなかったらただの敗者だ。僕がドレイモンドに伝えようとしたことは、どうやってチームメートのベストを毎日引き出すか、ということ」

歯に衣着せぬ言動以外にも、ブライアントはグリーンの貪欲な姿勢を称えている。

「素晴らしい洞察力を持った選手だ。バスケットボールについても、よく勉強している。バスケの研究家みたいだ。昔の話や特定の状況で、これまでの選手ならどうしたとか、そういうことを聞かれた。最近の若手は、表面的な部分ばかり気にする選手が多いけれど、彼は深い部分にまで気を配っている」

73勝9敗を挙げ、年間最多勝利記録を更新したウォリアーズだが、ブライアントは、プレーオフという異空間を勝ち抜くためにも、グリーンにチームをかき回す役割を期待しているようだ。

「プレーオフでは感情的にタフな場面が多くて、それを乗り越える必要がある。普段から穏やかなだけでは、急にテンションが張りつめた場面には対応できない。なだらかな波に漂っているような感じ、とでも言うのかな。それだと、嵐に襲われた時に、どうしていいか分からなくなってしまうんだ」

「そういうときを乗り越えるためにも、日々の練習で『ボタンを押してくれる』選手が必要になる。緊張感を生み出し、練習から競い合う環境を作らないといけない。不屈の精神を得るためにも、そういう環境が必要なんだ」