長い腕を生かした積極的なプレーで流れを呼び込む
川崎ブレイブサンダースは10月19日、横浜ビー・コルセアーズとの『神奈川ダービー』第2戦を延長線の末に88-81で制し、連敗を4でストップした。
34得点を挙げたロスコ・アレン。20得点16リバウンドのサッシャ・キリヤ・ジョーンズ。彼らの得点を演出しつつ自らも勝利を手繰り寄せるパフォーマンスを発揮した篠山竜青。誰の目にも明らかな活躍を見せた彼らに加え、数字に現れないファインプレーで勝利に貢献したのは、加入2シーズン目の24歳・益子拓己だった。
益子はこの試合、ディフェンス、ルーズボール、リバウンド、攻守問わずさまざまなシチュエーションで、ボールにアグレッシブに手を出し、ひっかけた。横浜BCのオフェンスに小さなエラーを、川崎のオフェンスに薄氷のチャンスを呼び込んだそれは、第1戦ではあまり見られなかったプレーだ。
「昨日の試合が終わった後、映像を見返しながら『あと一歩、前に出たいな』って思ったんです。今日の午前中の練習でそこを意識しながら調整して、自分なりに『このタイミングだ』っていうのが見えた。それが試合に生きたんだと思います」
試合前には「ディフェンスに関しては自分のマークマンもいるし、離れていいだろうか」と逡巡したものの、勝久ジェフリーアシスタントコーチから「君の腕の長さ(益子のウイングスパンは身長+10cmの196cm)は絶対にもっと大きな武器になる」と背中を押されたことで、「思い切りやっていいんだ」と意識がクリアになったという。
4得点2リバウンド2アシスト1スティール。ごくごく平凡なスタッツに反するように益子はこの日、キャリアハイとなる28分41秒のプレータイムを得た。スタッツに表れないプレーでチームに大きな貢献を果たした、まぎれもない証だ。
シュートが入らないときでも信頼される選手になりたい
「個人的なスタッツが伸びなくて、シュートも入っていない状況でも長く使ってもらえたのは、たぶんディフェンスやハッスルを評価されたからだと思います。シュートが入らなくても使ってもらえる選手。それは僕が目指しているものでもあります」
益子は得た手応えをこのように話したが、安心はしていない。「この試合でそれができたからといって、信頼を勝ち取って、今後もたくさんチャンスをもらえるということでもないと思います。ここをベースにしてまたレベルアップしたいです」と言った。
拓殖大在学中に特別指定選手として加入した京都ハンナリーズを離れ、バスケットボールスクールでアルバイトをしながら川崎の練習に参加。昨シーズン中盤にプロ契約を勝ち取った。「好きにやって来い」と軽く背中を押されてコートに立ち、ミスをしてもたいてい許された。
「今シーズンはそういう立場ではないと思っています」。益子は力を込めて言った。「元々の流れを『つなぐ』のでなく、自分で流れを『持ってくる』。エースのいないこのチームだからこそ、僕が先頭を走って、クリエイトして、すべてのことを引っ張りたいという意識は常に持っています」
現在チームは、益子と同ポジションの野﨑零也がケガで戦線離脱中。ウイングポジションが手薄な状態で、23日のサンロッカーズ渋谷戦、25日、26日の群馬クレインサンダーズ戦というハードなスケジュールに突入する。伸びしろだらけの益子がステップアップを果たせば、チーム、そして何より益子本人に大きな財産がもたらされるだろう。
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