クリス・ポール&ビクター・ウェンバニャマ

クリス・ポールは満足気「見た目ほど簡単じゃあない」

現地10月9日、スパーズは2試合目のプレシーズンゲームでマジックと対戦して107-97で勝利した。2日前のサンダー戦では欠場したクリス・ポールとビクター・ウェンバニャマがともに先発出場し、初めての実戦ながら息の合ったコンビネーションを披露した。

2人とも23分プレーし、ポールは5得点3アシストを、ウェンバニャマは11得点9リバウンド4アシストを記録した。ウェンバニャマはオリンピックの決勝以来、ポールはウォリアーズに所属した昨シーズンのプレーインを最後に半年近く実戦から遠ざかっており、最初は感触を確かめながらのスロースタート。それでも第1クォーター残り1分で、ポール加入が決まった時からファンが想像してきたプレーが実現した。

ウェンバニャマのスクリーンを使ったポールが左からドライブを仕掛け、だがあえてスピードアップせずに相手ディフェンスの判断を迷わせた一瞬の隙に、ウェンバニャマがその背後のスペースに飛び込む。ポールがプルアップのジャンプシュートと見せかけてリムへと放り上げたロブパスは、次の瞬間にはウェンバニャマのダンクでリングに叩き込まれていた。

試合後、ポールは「見た目ほど簡単じゃあない」と満足そうに笑った。ウェンバニャマは映像を見ながら「すごいね。イージーダンクだった」と言い、「でも、NBAでこのパスを出せる唯一の選手が彼なんだと思う」と続けた。

第1クォーターはフリースローとこのダンクしか得点のなかったウェンバニャマだが、このアリウープをきっかけにリズムをつかみ、第2クォーターには8得点を記録。最初から最後までポールとウェンバニャマは同じタイミングで交代しており、指揮官グレッグ・ポポビッチが2人の連携をここで試していたのは明らかだった。

ウェンバニャマはポールとのプレーについてこう語る。「コートに戻って来たばかりだから、今日はテストの意味合いが強かったけど、一緒にコートに立ったことで彼が試合をしっかりコントロールしているのが感じられた。単なるチームメートという以上に、厳しい状況に置かれた時に頼りになる存在だよね。このプレシーズンでできる限りたくさん彼とのピック&ロールを使いたい」

かつてポールがプレーしたクリッパーズは『ロブ・シティ』と呼ばれた。彼がふわりと放り上げるロブパスをフィニッシュするのは、パワフルなダンクを連発するブレイク・グリフィンであり、屈強なセンターのディアンドレ・ジョーダンだった。スター選手が揃ってきらびやかだったクリッパーズは成功を収められず、ロブシティは解体されたが、あれから約10年の時を経てサンアントニオで『ロブ・シティ』が復活するかもしれない。

クリス・ポールは39歳となった。往年のキレは失われたかもしれないが、そのバスケIQとスキルはいまだ研ぎ澄まされている。20歳の新たな相棒を得て、その勝利への情熱は再び沸き立っているに違いない。