ザック・ラビーン

「僕のことを疑う人々を黙らせれば満足感が得られる」

ザック・ラビーンは低迷が続くブルズの『戦犯』と見なされている。チームが勝てない中でラビーンはケガ続き。昨シーズンは序盤に右足のケガで戦線離脱し、手術に踏み切ったことで25試合にしか出場できなかった。さらに彼の離脱と時を合わせるようにしてチームが勝ち始めたことで、トレードの噂も加熱することになった。

実際、昨シーズン終盤から今オフにかけてブルズはラビーンのトレードを画策したと言われるが、5年2億1500万ドル(約320億円)の高額契約がまだ3年残っていることがネックとなり、移籍は実現しなかった。結局、デローザンが勝利を求めてキングスへと去り、ビッグ3は解散。そしてラビーンはブルズに戻って来た。選手としての評価はガタ落ちと言うべき状況だが、彼はリベンジに燃えている。

「何がモチベーションになるかは人それぞれだけど、僕のそれは不満だ。僕のことを疑う人々を黙らせれば満足感が得られる。そのメンタリティを生かして前に進みたい」とラビーンは言う。

移籍の噂については「何も言うつもりはない」ときっぱり。「噂が出ることには慣れている。真実かどうか分からないことにコメントする意味はないし、過去のことについて話すのも好きじゃない」

噂はもう一つある。ケガが癒えて復帰するのに際してのクラブ側との話し合いで、若い選手にボールを持たせて、自分はサポートに回ることをラビーンが受け入れたという噂だ。ラビーンは直接的な言及はしなかったが、「選手に何を求めるのか、その会話は当然あるよ」と語った。「僕はキャリア11年目で、126人とか127人のチームメートと6人のヘッドコーチと一緒にやってきて、求められる役割は何であれこなしてきた。だからビリー(ドノバン)には、求められることは何でもやるつもりだと伝えた」

新たなブルズでボールを持ってオフェンスをリードするのは、昨シーズンにラビーンの穴を埋める大活躍を見せたコービー・ホワイトになるだろう。ラビーンはホワイトについてこう語る。「ドラフトからずっと彼のプレーを見てきたけど、チャンスをモノにする準備ができていたね。プレーだけでなく人としても、素直で頼れるヤツだ。コービーの成長はチームにとって素晴らしいことだ」

もう一人はサンダーから加入した生粋のポイントガード、ジョシュ・ギディーだ。「何度も対戦してきたから彼のプレーは分かっている」と話すラビーンは、何が問題なのか分からないという表情を見せた。

健康を取り戻したラビーンは、チームを勝たせて自身の再評価を勝ち取ることだけを考えている。過去の不振や悪評は気にせず、自らの手で未来を切り開くつもりだ。

「ブルズのユニフォームを着るといつだって誇らしいよ。移籍して来て8年目になるけど、その気持ちは変わっていない。僕が第一に優先するのは心身ともに健康であること。そして、この仕事をする以上は自分の状況を理解し、受け入れなければならない。僕は決して逃げ出さない。ケガ明けだけど、6月にはコンタクトありの練習を再開していたし、このオフをフルに活用してあらゆるトレーニングをしてきた。戦うための準備はしてきたつもりだ」