三屋裕子会長「オールバスケットで取り組む」
日本バスケットボール協会は、暴力暴言を始めとする、すべてのハラスメントをなくすことを目的に「クリーンバスケット、クリーン・ザ・ゲーム ~暴力暴言根絶~ 」という新たなメッセージを掲げた。これを強力に推進するのが、三屋裕子会長だ。
発端は昨年8月、ジャカルタでの不祥事。JOC(日本オリンピック委員会)の日本選手団としてアジア競技大会に参加していたバスケットボール日本代表の4選手による買春行為だ。この際、JOCのスポーツ・インテグリティの精神がバスケ界に浸透していないと感じた三屋会長は、「ハラスメント的な不祥事を二度と起こさないために、トップとしてバスケ界がインテグリティにしっかり取り組んでいる姿勢を出そう」と決めたそうだ。
こうして日本バスケットボール協会にインテグリティ委員会が立ち上げられ、インテグリティは「誠実さ」、「真摯さ」、「高潔さ」であると定義された。三屋会長は「どこかがやるんじゃなくて、オールバスケットでやっていく」と意気込む。
自身もバレーボールの日本代表選手で、オリンピックを戦った経験もある三屋会長は、暴力暴言がはびこるバスケ界の現状を認めた上で、「世界で戦っていく選手はそれでは育たない」と言い切った。
「指導者から怒られたくない、殴られたくないから頑張るのでは本末転倒です。そういう選手がスポーツの素晴らしさを伝えられるか。指導者の顔色を見てプレーしているようでは世界で戦っていく選手は育ちません。これから日本のバスケットを世界に出していくためにも、こういう草の根からやっていくのが大事だと思っています」
今後、選手に対する暴力的行為および暴言はテクニカルファウルとし、競技規則に則りテクニカルファウル2個で失格退場となることが徹底される。レフェリーに対しては暴言、暴力的行為に対する対応のガイドラインがすでに通知されており、明日(3月28日)に開幕する全国ミニバスケットボール大会、ジュニアバスケットボール大会で先行実施、4月の新年度からは全国でこの基準が適用される。
『バスケットで日本を元気にします』という理念の実現に向けて、インテグリティを今後より重視すると三屋会長は語る。「インテグリティは広義なものです。最初は暴言暴力を対象としますが、やらなければいけないことはもっとある。指導者養成にも審判養成にもインテグリティの精神を入れていきます」
この取り組みが日本のバスケを、トップレベルから草の根まで、本当の意味で変革することを期待したい。