パリ五輪では銅メダル獲得に貢献、大きなネックは約11億円の年俸
一昨年のNBA王者であるナゲッツは昨年にブルース・ブラウン、そして今夏にはケンテイビアス・コールドウェル・ポープと2年続けて経験豊富な主力ベテランがFA移籍でチームを去った。サラリーキャップの制限があるため、彼らの流出は致し方ないが、王座奪還を果たすためには若手のステップアップと共に、ラッセル・ウェストブルックに続くベテラン獲得でベンチ層の底上げも必要だ。
そんな中、NBAインサイダーのマーク・ステイン氏は、ナゲッツがホーネッツの司令塔バシリエ・ミチッチの獲得に興味を持っていると報じている。30歳のミチッチはトルコのアナドス・エフェスで、2021、2022年とユーロリーグファイナル4のMVPを受賞。2年続けてチームを欧州王者に導くと、昨シーズンにサンダーで加入。しかし、思うような結果を残せずシーズン途中にホーネッツへとトレードされていた。サンダーでは30試合に出場し平均12.0分のプレータイムで、3.3得点、2.5アシストだったが、ホーネッツでは30試合に出場し平均27.2分のプレータイムで、10.8得点、6.2アシストを記録している。
また、パリ五輪ではセルビア代表の主力として平均22.0分出場し、13.3得点、4.5アシストをマーク。3位決定戦のドイツ戦では19得点を挙げ、銅メダル獲得に大きく貢献した。そして、ナゲッツにはセルビア代表でずっと一緒に戦っている盟友で、自分の持ち味を熟知しているニコラ・ヨキッチがいる。2人は、ヨキッチがナゲッツ入り前に在籍していたセルビアのメガバスケットでもチームメートだった旧知の仲だ。彼にとってナゲッツは、より持ち味を発揮しやすい環境と言えるだろう。
ナゲッツの司令塔にはヨキッチと並ぶ2大エースのジャマール・マレーが君臨し、2番手にはラッセル・ウェストブルックがいる。しかし、ミチッチは196cmと2番も難なくこなせるサイズの持ち主で2人との共存に大きな支障はないだろう。だが、大きな問題はミチッチの年俸で今シーズンは約770万ドル(約11億円)。この金額は、サラリーキャップに余裕がないナゲッツにとってかなりの高額となる。
これ以上、チームの総年俸を増やさずにミチッチを獲得するには、彼と同規模の年俸で昨年10月に4年の契約延長を結んだジーク・ナジなど若手を交換要員に放出する必要も出てくる。ヨキッチとの相性抜群という大きな武器を持つミチッチが果たして、ナゲッツに加入することはあるのか。開幕前に実現する可能性はかなり低そうだが、今シーズンのトレード期限ぎりぎりまで、頭の片隅に入れておきたいトピックだ。