ジョン・ムーニーとディー・ジェイ・ホグの離脱で失速

千葉ジェッツは、ホームでのレバンガ北海道との連戦を1勝1敗で終えた。1月4日は第4クォーターの猛攻により75-67と逆転勝利を収めたが、5日は序盤に負った21点のビハインドが響いて64-70で敗れた。これで千葉Jは今シーズン18勝10敗、東地区では首位の宇都宮ブレックスに5ゲーム差の地区3位、ワイルドカード2位とチャンピオンシップ出場枠になんとか踏みとどまっている状況だ。

千葉Jは12月1日終了時点で14勝2敗とスタートダッシュに成功したが、ここからリーグ最強のセンターと言うべきジョン・ムーニー、同じくリーグNo.1の万能フォワードのディー・ジェイ・ホグと中心選手が揃って離脱し、まだ復帰できていない。2人の離脱を受けてジョナサン・ウィリアムズを補強するも、それまでB2のベルテックス静岡に短期契約で在籍していたウィリアムズにムーニーやホグのような貢献を求めるのは酷だ。

ムーニーとホグが離脱してからの千葉Jは4勝8敗と苦しい状況が続いている。だが、三遠ネオフェニックス、群馬クレインサンダーズ、島根スサノオマジックといった強豪との対戦が続いたことを考えると、今の成績は十分に及第点を与えられるものだ。

千葉Jの富樫勇樹は「かなり悔しい試合でしたが、これが今の実力で、このメンバーで水曜日の天皇杯を戦わないといけないので切り替えて臨みたいと思います」と5日の試合後に語った。

インサイドのポジションを、3枠と限りのある外国籍に大きく依存しているBリーグのシステムにおいて「ビッグマンの外国籍選手が抜けるのは、日本人エースが抜けること以上に大きな問題です。(今の千葉Jと同じ状況になったら)崩壊しているチームもあると思います」と、富樫は冷静に捉えている。

「2人が1カ月間以上抜けるのは今まで10年くらいやってきた中で初めてだと思います。すごく厳しい状況ですが、とはいえすぐに戻ってこられるわけではないので、その中で今のチームとしてやれることを常にやっていく。まだなんとか最初の方の貯金のおかげでチャンピオンシップ圏内にいますし、宇都宮との地区優勝争いも追いつけないわけではありません。気持ちを切らさず、2人が戻ってきた時にチームとして良い状態でプレーできるようにやっていきたいです」

「みんな天皇杯に懸ける思いを持っている」

ムーニーとホグの不在によるインサイドの得点力不足もあり、現在の千葉Jはオフェンス面において渡邊雄太に求める役割がこれまでより大きくなっている。渡邊は開幕直後の故障離脱もありコンディションが万全でなく、さらに他の外国籍選手と同じBリーグのスタイルへのアジャストの最中。それでもここまで平均13.3得点、5.7リバウンドと奮闘しているが、一方でフィールドゴール成功率は40%以下と本来の力を発揮できていない。

NBAでの過去6シーズンはキャッチ&シュートでの3ポイントシュートが主な役割で、味方の作ったシュートチャンスを決めるのがオフェンスの仕事だった。それが今は個で打開することを求められている。渡邊の実績、実力からすればこの役割は当然であるが、適応は決して簡単なことではない。富樫もそれは十分に認識しており、それと同時に試合を重ねることで向上すると続ける。

「雄太は日本代表も含めてオフェンス面でボールを持ってクリエイトする役割ではずっとなかったはずです。Bリーグに来て、自分の行く時、行かない時とバランスをまだ探っている部分もあります。彼は行こうとすればシュートまで行けます。これからもっと試合をしていく中で、確率などいろいろな部分が良くなっていく。僕もそこは心配していません」

明日、千葉Jは天皇杯のベスト8でアルバルク東京と対戦する。A東京もケガ人を抱えて4連敗中と状態は良くないが、プライドを懸けた激闘が予想される。

富樫は大一番への意気込みをこう語る。「どういう守り方をするのかなどスカウティングも大切ですが、『負けたら終わり』という気持ちをしっかり作って戦うこと。みんな天皇杯に懸ける思いを持っているので、気持ちの面は心配していません。シュートが入る、入らない、いろいろなことがあると思いますが、ここまでやってきたことをチームとしてやっていけたらと思います」

そしてムーニー、ホグ復帰という苦境を乗り越えた先に、「ケガ人が戻ってきて万全の状態になった時、雄太も含めよりお互いの良さを引き出せると思います」と明るい展望を語る。2025年、我慢のスタートとなった千葉Jにとって、明日の天皇杯は悪い流れを変えるきっかけになる重要な一戦だ。