ケビン・デュラント

コンディションは「この数日でだいぶ良くなっている」

ケビン・デュラントは代表活動がスタートする前の個人練習中にふくらはぎの肉離れを起こし、強化試合でプレーすることなくオリンピック本番を迎える。NBAで最後にプレーしてから3カ月が経過し、試合勘は失っているはず。チームとのケミストリーもこれから作ることになる。35歳になり、ケガと付き合いながらのプレーを強いられて久しい彼が、どれだけのパフォーマンスを発揮できるかは未知数だ。

それでも、直近で公開された練習での映像では、キレのある動きが確認できた。そして何より、ロンドン、リオ、東京と3大会連続でオリンピックに参加し、金メダルを勝ち取ってきた経験がある。2021年の東京オリンピックでは、バスケットボール競技でのMVPにも選ばれた。

そのデュラントが、現地7月25日にオリンピックの公式会見にステフィン・カリーとともに登場した。「オリンピックではいつも楽しい時を過ごしている。世界最高の選手たちと一緒にプレーするのも対戦するのも楽しみだ」と挨拶したデュラントは、自身のコンディションについて「この数日でだいぶ良くなっている。やるべきことを一つずつ確認しているんだ。今日も激しい練習をやってきた」と語る。

4度目のオリンピックだが、そのすべてがデュラントにとっては特別だ。「今この瞬間を大切にしたい。素晴らしい選手と一緒に、様々な戦術や競争力を持ったチームと対戦する。僕自身は常に高い競争心を持っているつもりだけど、オリンピックで集まり、他の素晴らしいチームと競い合うことで、その競争心は一段と強いものになる。そういった信じられないような経験ができるのがオリンピックなんだ。今回の代表チームではまだプレーできていないけど、サイドラインに立っているだけで今までにないほどのエネルギーが沸いてくるよ」

今回のアメリカ代表は、1992年の『ドリームチーム』、2008年の『リディームチーム』に匹敵するスター選手が集まり、タレント力では他の追随を許さない。それでもデュラントは、チームの武器はタレント力ではなく『結び付き』だと語る。「他のチームの多くは継続的なチーム作りをしてきて、そのケミストリーが武器になる。でも僕らも同じコートでずっと戦ってきた仲間であり、その結び付きは強い。レブロンを始めチームメート全員と何年もプレーしてきた。そうしてお互いをよく知っていることがチームの強みになる」

39歳のレブロン・ジェームズを筆頭に、カリーが36歳、デュラントが35歳とベテラン偏重のチームでもある。30歳でアメリカ代表に加わったジョエル・エンビードが『NY Times』のポッドキャストで「アメリカはスター選手の年齢が高いので、過大評価されている」とコメントしたことが話題となったが、ベテラン偏重という見方にデュラントはこんな反論をしている。

「僕らはみな、やり方はそれぞれ異なるけど、状況に合わせて効果的なプレーを模索してここまで来ている。例えばレブロンは25歳とか26歳と同じ方法でジャンプしているわけじゃなく、だから今も高く跳べるし速く走れる。僕らも年齢を重ねているけど、効果的な方法を見つけ出してきた。それが素晴らしい選手になるための秘訣なんだ」

デュラントがこう語ると、隣で聞いていたカリーは「ポッドキャストが多すぎるんだよ」とジョークを言って周囲を笑わせた。

NBAでの試合に比べればプレータイムは短くなり、負荷は軽減できる。デュラントは100%のコンディションではないにせよ、大会に合わせてきっちり調整してくるだろう。今大会で優勝すれば彼は個人4つ目の金メダルを手にし、男子バスケットボール選手では史上最多となる。それでもデュラントは、ただ大会を楽しむつもりでこう語った。「対戦相手がどんなバスケをしてくるかが楽しみだし、それに僕たちがどう対処するのかも楽しみなんだ」