ドノバン・クリンガン

センター過多のチームがドノバン・クリンガンを指名

トレイルブレイザーズは1年前、デイミアン・リラードのトレードが決まらないことでロスターを固められないオフを過ごしていきました。その影響もあり、ドラフト1巡目3位で指名したスクート・ヘンダーソン、エースのアンフィニー・サイモンズ、そしてベテランのマルコム・ブログドンとポイントガードが多い構成で開幕を迎えることとなりました。

今オフはブログドンを放出し、マルチな才能を持つダニ・アブディヤを獲得してポイントガード過多は解消できましたが、今度はドラフト1巡目7位でドノバン・クリンガンを指名したことで、ディアンドレ・エイトン、ロバート・ウィリアムズ3世とセンター過多になっています。いずれもクラシックなセンターで同時起用が難しい上に、クリンガンにプレータイムを与える意味でもトレードに動きたいところです。

ブレイザーズの思惑としては再建のために若手有望株ばかりを集めるのではなく、ジェレミー・グラントやエイトン、サイモンズといった実力のある選手に、シェイドン・シャープやスクート、クリンガンといった若手を組み合わせ、プレーオフを狙いながら育成も進めることにあります。この再建方法ではグリズリーズやマーベリックスが成功を収めており、近年の流れに乗った形です。

しかし、この1年は勝利という結果を残せず、ベテランにプレータイムを与えるために若手が成長するための機会が制限されることになりました。個々の奮闘はあったものの、本来求めていた『勝利に繋がるプレーモデル』をチームとして共有して戦うことはできておらず、チーム作りが進んだとは言い難い状況です。

ここ3年間のドラフトでは2022年7位でシャープ、57位でジャバリ・ウォーカー、2023年は3位のスクート、23位のクリス・マレー、43位のライアン・ルパート、52位のトゥマニ・カマラ、そして今年は7位でクリンガンと多くの若手を指名してロスターに加えています。2巡目指名でも自分の特徴を出したカマラがスターターの座を射止めるなど、若手の成長にフォーカスすると割り切ってベテランを放出するほうが長い目で見れば有益な気がしてきます。

いずれにしてもブレイザーズは開幕までに動く必要があります。若手を放出してでも堅実なプレイヤーを集めて勝利を目指すか、それとも若手の成長を促すために中堅どころを放出するか。『二兎を追う者は一兎をも得ず』という結果を2年連続で続けないように、チーム作りの方針を明確に示すべきでしょう。