レブロン「コネチカット大のバスケは好き」
現地6月6日、『ESPN』はコネチカット大のダン・ハーリーがレイカーズのヘッドコーチ有力候補だと報じた。父は殿堂入りした高校コーチのボブ・ハーリー、兄はデューク大のスター選手で1993年の1巡目7位指名を受けてキングスでプレーし、現在はアリゾナ州立大の指揮を執るボビー・ハーリー。ダン・ハーリーは現在51歳で、コネチカット大を率いてNCAAトーナメント2年連続優勝と、大学バスケ会で今最も勢いのあるコーチだ。
『ESPN』によれば、レイカーズはハーリーの卓越した戦術眼と選手を育てる能力を評価し、この数日のうちに交渉をさらに進める予定だという。ハーリーはレイカーズと交渉中であることを大学側と選手たちに明かし「まだ何も決めてはいないが、レイカーズの提案を最後まで聞きたい」と伝えたそうだ。
ダービン・ハムの解任はすぐに決めたレイカーズだが、後任決定までにはじっくり時間をかけている。NBAでは今後、サラリーキャップの縛りがさらに厳しくなり、資金力にモノを言わせてスター選手を集めるやり方は通用しなくなる。これまではフロントが集めた戦力を生かして目先のタイトルを取りに行き、結果が出なければ2年か3年で解任されていたヘッドコーチは、今後は中長期的な視野に立ち、GMのような考え方もしつつ、選手個々ではなくチーム全体を育てるように役割が変化してくる。レイカーズはそう考えて後任人事を進めているのだろう。
レブロン・ジェームズとの相性も良さそうだ。コネチカット大がNCAAトーナメント連覇を決めた時、JJ・レディックのポッドキャスト番組に出演したレブロンは「コネチカット大のバスケはダイナミックでクリエイティブで、すごく好きだ」とコメントしている。
レブロンは契約最終年となる来シーズンのプレーヤーオプションを行使するかどうかが注目されている。ハーリーが中長期的な視野に立ってレイカーズを率いるのであれば、39歳で『すぐに勝つ』必要のあるレブロンとはタイムラインが合わない。しかし、2巡目指名権を使って息子ブロニーを指名し、ハーリーがその成長にコミットしてくれるのであれば、レブロンとしては他のどんな選択肢よりも心強いものになる。
もっとも、ハーリーは大学バスケ会では実績十分の名将だが、NBAでは実績ゼロの新人となる。レイカーズは戦力は充実しているがスター選手のコントロールは難しく、大都市ロサンゼルスに本拠地を置く人気チームとあってファンやメディアからのプレッシャーも半端ではない。ハーリーにとってレイカーズのオファーを受けるのは火中の栗を拾うようなものだ。
それでも、ハーリーは数日前にポッドキャスト番組『The Mike Francesa』に出演し、「もし適切なタイミングでNBAのチャンスがやって来たら是非とも挑戦してみたい。自分自身を試してみたいんだ。勝利の文化を浸透させ、若い選手に刺激を与え、優勝を目指したいチームが現れたらね」と語っている。
おそらくこの時点でレイカーズと何らかの交渉は始まっていたはず。そうであれば、彼はレイカーズの提案を真剣に検討しているのだろう。NCAAトーナメント連覇をいずれも歴史的な圧勝劇で果たした彼にとって、もはや大学バスケの舞台でやり残したことはないのかもしれない。『隣の芝生の火中の栗』は、彼の目にさぞかし刺激的に見えているのだろう。