ペイサーズを賞賛「シーズンを通して戦ったどの相手よりタフだった」
セルティックスは、ペイサーズとのカンファレンスファイナル第4戦に105-102で勝利。シリーズ通算4勝0敗のスウィープで2年ぶりのNBAファイナル進出を決めた。
この試合、ペイサーズは大黒柱のタイリース・ハリバートンを故障で欠く中、24得点10アシストとけん引したアンドリュー・ネムハードを中心にチームバスケットを展開し、序盤から互角の展開に持ち込んだ。セルティックスは第4クォーター残り9分の時点で、ネムハードのバスケット・カウントで9点を先行されたがあわてることなく巻き返し、残り2分40秒にジェイレン・ブラウンの得点で追いつく。
両チームともにディフェンスで踏ん張り、こう着状態が続く中で、ブラウンが躍動する。同点で迎えた残り1分、ネムハードのドライブからのレイアップをブロック。さらにブラウンは直後のオフェンスでドライブから複数のディフェンスを引き寄せ、コーナーでフリーになっているデリック・ホワイトにパス。これをホワイトが決めて残り45秒で勝ち越し、セルティックスが激闘を制した。
終盤のビッグプレーに加え、29得点6リバウンド3スティールと攻守で素晴らしいプレーを見せたブラウンは、シリーズ4試合で平均29.8得点、5.0リバウンド、3.0アシスト、2.0スティールを挙げ、カンファレンスファイナルMVPに選ばれた。MVPについて「選ばれるとは全く思っていなかった。これまで、こういう賞を受賞したことは一度もなかったからね」と語るブラウンは、ハリバートン不在でも粘り強く戦ったペイサーズへの敬意を強調する。
「勝ててハッピーだし、タフな状況で戦ったインディアナを賞賛したい。インディアナは強くないと思った人々もいたかもしれない。でも彼らは、僕たちがシーズンを通して戦ったどの相手よりタフだった。フィジカルで速く、激しいプレッシャーをかけてきた。だから周囲の声を気にせず、彼らをリスペクトしている」
そしてホワイトの決勝弾を導いたパスについてこう振り返る。「素晴らしいシュートだった。僕たちは、いつもああいう状況からシュートを打つ練習をしている。あの場面の前、ホワイトにはコーナーに残って打つ準備をするように伝えていた。そして、彼はファイナルへと導くビッグショットを決めてくれた」
ブラウンは今シーズンを含め5年連続で平均20得点以上を挙げており、オフェンス面で注目されることのほうが多い。だが、彼は「自分のことはリーグ屈指の2ウェイのウイング、もしくはガードだと思っている」と守備にも大きなプライドを持っている。そして、実際にこのシリーズでは守備での活躍も目立っていた。だからこそ、周囲から守備の評価を勝ち得ていないことに残念な思いも持っている。
「今年は自分のレベルを上げ、マッチアップした相手をフルコートで追いかけ、ビッグマンとも戦っている。自分はオールディフェンスチームに選ばれるべきだと思っていたので、選ばれなかった時には傷ついた。なぜなら、この賞は個人としてシーズンで最も欲しかったからだ。ただ、チームとボストンの街の家族は僕の価値をわかってくれている」
長らくセルティックスの主力でいるブラウンだが、No.1のエースはジェイソン・テイタムで、昨シーズンまでチームリーダーといえばマーカス・スマートだった。一方で彼の年俸はリーグ最高給であり、そこに対するネガティブな意見を浴びせられることも少なくない。だが、今のブラウンは周囲の声に揺らぐことはない。
「僕には理解できない、理解する必要がないこともある。そして僕は自分が何者であり、なんのためにプレーしているのかわかっている。今はすべてを受けいれ、自分らしく振る舞い、自分の信念に従って行動しているんだ」
スマートが去った今シーズン、ブラウンはこれまで以上のリーダーシップを発揮して、チームの一体感を高めるのに貢献してきた。プレースキルとあわせ心身ともにレベルアップしたブラウンは、セルティックスを2008年以来のNBA王者へと導く準備ができている。