船生誠也

第2戦でカギとなるスイッチディフェンスに対するアジャスト

広島ドラゴンフライズは琉球ゴールデンキングスとのBリーグファイナル第1戦に62-74で敗れ、初タイトルに黄色信号が灯った。

広島は出だしでいきなり0-8のランを浴びて後手に回ると、第2クォーターには河田チリジがテクニカルファウルをコールされるなど浮足立つ時間が長く続き、前半で18点ものビハインドを背負った。カイル・ミリングヘッドコーチも「琉球さんの方が落ち着いていて、私たちはエキサイトしていた。『我々がチャンピオンチームだ』というような気持ちを見せつけられてしまった」と振り返る。セカンドガードとして攻守でエナジーを注入した船生誠也も「ファイティングスピリットは彼らの方が上だった」と認めた。

結果的に琉球のディフェンスを攻略できず、得点が伸び悩んだことが敗因となった。河田を起点にインサイドを強調した終盤はオフェンスが機能したが、3ポイントシュートをケアしフィジカルにゴール下を守る、琉球のスイッチディフェンスに対する答えを出すのに時間がかかった。

船生は言う。「相手はピック&ロールの時にスイッチしてきました。ビックマンにパスを渡した時にスモール(小さい選手)がついているので、彼らもリング近くで打った方が効率は良いです。でも琉球のウイングはとてもフィジカルですし、そこでゴール下まで行けずにコンテストされながらミドルシュートを打つケースが多かったです」

そして、タフショットが多いことでディフェンスに戻るタイミングが遅れる、負の連鎖を悔やんだ。「ディフェンスを良くするためには良いシュートで終わらなくちゃいけません。タフなレイアップで終わると、その時点で4対5が始まってしまいます。後半は割と良いシュートで終われていましたが、前半はタフショットが多かったです」

シューターの山崎稜も琉球の密着マークに苦しんだ一人だ。6本中3本の3ポイントシュートを決めて意地を見せたが、放った4本の2ポイントシュートはすべて外れ、自身がやりやすい状況でプレーをさせてもらえなかった。「ヘルプに寄らず、僕にボールを持たせないようにフェイスガードで守られました。チームオフェンスで停滞していた時間がかなり長かったです。今まではボールが回ってこない時間がなかったので、明日は改善していかないといけません」

広島は第3クォーター中盤にこの日最大となる24点のビハインドを背負った。心が折れてもおかしくなかったが、そこから巻き返し最終クォーターには点差を1桁に戻す場面もあった。この逆境から這い上がる力こそ、広島の最大の武器だ。レギュラーシーズン終盤の大事な時期に勝ち星を積み上げてワイルドカード1位を奪取し、チャンピオンシップ(CS)でもアップセットを繰り返した。特にセミファイナルの名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの第1戦では、前半を14点ビハインドで折り返すも、第3クォーターを24-3で圧倒して大逆転勝利を収めた。船生もこの記憶があるからこそ、バウンスバックに自信を見せる。

「名古屋D戦もそうですし、2桁差になってもこれまでカムバックしてきました。結果は結果ですが、全然悪くないと思っています。シュートが入らなかったけど、後半に絶対に時間が来るからと話して、本当にあと少しのところまで行きました。明日は出だしから、全員で闘志を燃やしてしっかりやっていきます」

第2戦はスイッチディフェンスに対してアジャストするとともに、出だしから闘志で琉球を上回ることが広島には不可欠となる。