アーロン・ゴードン

ヨキッチも脱帽「この試合のベストプレーヤーだった」

27得点7リバウンド6アシスト1スティール2ブロック。このスタッツを残したナゲッツの選手は誰かと問われれば、多くの人がニコラ・ヨキッチと予想するだろう。しかし、現地5月12日に行われたティンバーウルブズとの第3戦でヨキッチが残したのは35得点7リバウンド7アシスト3スティール1ブロックであり、それに匹敵する冒頭の数字はヨキッチに「この試合のベストプレーヤーだった」と言わしめたアーロン・ゴードンによるものだ。

ゴードンは、フィールドゴール26本中15本成功のヨキッチをはるかに上回る、12本中11本成功という効率の良さを見せた。もちろん、この中にはヨキッチの完璧なアシストを得て『ただ入れるだけ』のイージーシュートも何本かあった。ゴードンはこのスペースに飛び込めば必ずヨキッチからパスが出て来ると信じて動く。ヨキッチはこのタイミングでここにボールを差し出せば、そこにゴードンがいて決めてくれると信じている。

しかし、3ポイントシュートは2本放っていずれも決め、スピンムーブでアンソニー・エドワーズをかわしてのシュート、トランジションから躊躇なく仕掛けてファウルを受けながらのプルアップも決めている。ジャマール・マレーとヨキッチのコンビプレーを止めるだけでも至難の業だけに、ゴードンのシュートタッチが好調なのは相手ディフェンスにとって悪夢だ。

ナゲッツを率いるマイケル・マローンは、「アーロン抜きではウチは苦しい」と認める。「ニコラは自分らしいプレーをしてくれればいい。だがアーロンはオフェンス戦術を遂行し、プレーメークを助け、フィジカルを生かして相手と戦い、2人のオールスター選手を相手に守っている。私は今、実に多くのことを彼に要求しているが、見事に応えてくれている」

デンバーでの第1戦と第2戦を落とし、マローンは様々な新しい試みを取り入れた。マレーのボールプッシュを徹底的に阻んでくるウルブズの守備を惑わすために、第3戦からはゴードンがしばしばボールを運んでいる。それはゴードンだけではない。ベンチから出るジャスティン・ホリデーは、ウルブズの頭脳であるマイク・コンリーのマークを担当するだけでなく、初戦で大活躍したナズ・リードが攻撃の起点となるオフェンスを止める役割をこなしてシリーズの流れを変えている。第4戦でのホリデーは3ポイントシュート3本成功とオフェンスでも活躍。「慣れていない役割もこなさなきゃいけない。それがプレーオフだ」というホリデーは、レギュラーシーズンとは全く違う存在感を放ち始めている。

そういった様々な要素が集まり、チームとして一つになっているのが今のナゲッツの強さだ。ゴードンはこう語る。「誰も僕らを信じなかったとしても、僕らは自分たちを信じている。コートでも『僕らはお互いに信じ合っている。そのことを忘れずに戦おう』と話しているよ。僕たちがやるべきは、規律正しく集中して自分たちのバスケをやること。それだけで大丈夫なんだ」

ホームでは連敗したが、敵地で2つ勝って2勝2敗のタイに持ち込んだ。ゴードンは「ホームコートアドバンテージを取り戻せたよ」とニヤリと笑う。「崖っぷちに追い詰められたけど、そこから頑張って押し返せた。あとはホームで結果を出すだけさ」