ナゲッツでヨキッチを見出し、ティンバーウルブズでゴベア獲得の大型トレードを成立
プレーオフは現在、カンファレンスセミファイナルに突入しているが、一番の驚きといえばティンバーウルブズが昨シーズン王者のナゲッツ相手にアウェーで連勝スタートを切ったことだろう。過去2年連続でのプレーオフファーストラウンド敗退を経ての躍進は、今や次世代の顔としての地位を確立したアンソニー・エドワーズのステップアップなどさまざまな要因がある。その中でも注目すべきは2022年からバスケットボール部門社長を務めるティム・コネリーの卓越した編成力だ。また、コネリーはティンバーウルブズ加入前、2013年からナゲッツのGMを務め現在のチームの礎を築いた。この2つの実績により、今、彼の存在がクロースアップされている。
まず、ナゲッツ時代の功績を振り返ると、2014年ドラフトにおいて2巡全体41位でニコラ・ヨキッチを獲得。そして2015年には、前年にキングスでシーズン途中に解任されていたマイケル・マローンを指揮官に抜擢する。他にも2018年ドラフトでは才能は高く評価されていたが、故障の多さから多くのチームが指名を見送ったマイケル・ポーターJrを1巡全体14位で選択。当時、大きな賭けに出たと言われたが、その賭けに大勝利を収めたことは今のポーターの活躍が示している。アーロン・ゴードンのトレード獲得も含め、コネリーの慧眼があったからこそナゲッツは、今のメンバーを構築できた。
これらの実績によりコネリーは、2022年5月に5年総額4,000万ドル(約63億円)と言われる大型契約でティンバーウルブズに加入。就任直後にいきなり、ジャズからルディ・ゴ ベアを獲得する大型トレードを実施する。すでにカール・アンソニー・タウンズというリーグ屈指のビッグマンがいることで、当初はこの補強に懐疑的な見方も少なくなく、昨シーズンにプレーオフ初戦で敗退したことで、その声はより大きくなった。しかし、うまくフィットするには時間が必要と雑音に惑わされることなく、ゴベアとタウンズのツインタワーをすぐに解体しなかった。そして、この判断が正しかったことは今シーズンの躍進が証明している。
また、昨シーズン途中、再びジャズとのトレードでマイク・コンリーとニキール・アレクサンダー・ウォーカーを獲得。コンリーは巧みなゲームコントロールが光る司令塔、ウォーカーはエースキラーの守備職人として大きな貢献を果たしている。
そしてコネリーの最大の注目点は、ともにスモールマーケットであり、FAでの大物獲得には不利な条件の中で、2つの強豪を作り上げたところだ。もし、ティンバーウルブズがこのままの勢いを維持し、ナゲッツの連覇をストップした場合、コネリーの手腕はよりスポットライトを浴びるだろう。