カイル・ラウリー

写真=Getty Images

「バスケットボールで結ばれた。そこに理由はない」

今でこそ名デュオとして知られ、親友関係にあるデマー・デローザンとカイル・ラウリーだが、ラウリーがラプターズでプレーし始めた2012-13シーズンからの2シーズン近く、2人の間には会話さえほとんどなかった。当時について質問されたラウリーは「なぜだったか分からない。きっと僕がアイツのことを好きじゃなかったんだろうね」とジョークではぐらかした。

「この世界で誰かと出会い、バスケットボールで結ばれた。そこに理由はないんだ。とにかく、僕は彼と出会った。話をするかどうかに関係なく、同じ世界を見ていられる間柄になった。それは家族ができて子供が生まれるようなもの。強い絆の話だよ」

試合前日、トロントにやって来たデローザンはカイリーと夕食に出掛けたそうだ。「彼に払ってもらったよ」と、ラウリーは笑いながら答えた。「今はアメリカドルの方が強いからね」

今でこそ笑顔で話せるようになったが、昨年の7月にラプターズがデローザンをスパーズにトレードした直後は、ラウリーの気持ちも複雑だったに違いない。それでも彼らは、プロとしてお互いの道を進み、それぞれのキャリアを送っている。試合後のコートでラウリーはデローザンに「残り試合での幸運を祈っている」と伝えた。

この日は、試合前のウォームアップ、選手紹介、試合中にラプターズが会場内のビジョンに記念動画を映し出した時を含めて、会場中がデローザンに拍手を送り続けた。元相棒がここまでトロントで愛されている理由について、ラウリーは、「若い時分からこの街にいて、彼がホームタウンのように思っているからじゃないかな」と、分析する。「この街に長く住んでいると、第二の故郷のように思えてくる。そういう彼の気持ちに街も感謝しているんだ」

友情は変わらないが、それぞれチームの中心選手としての責任があり、常にタフなスケジュールをこなさなければいけない立場。ゆっくりと会話ができる機会はまだずっと先、2人が引退した後のことになるかもしれない。ラウリーは「引退したら、自分たちがこのチームのためにやったことを思い返すだろうね」と言う。

「アイツは生涯の友だ。いつかお互いに引退したら、家のデッキで一緒にレモネードでも飲むよ。そういう友人関係は結構グッと来るよね」