デマー・デローザン

今夏35歳に「チャンスがあるうちに全力を尽くしたい」

ブルズのシーズンはまたも失敗に終わった。ここ9シーズンでプレーオフ進出は2回のみ、いずれもファーストラウンドで敗退している。マイケル・ジョーダンの黄金期が終わってからの低迷期よりずっと長い辛抱をファンは強いられている。

昨シーズンに続いてプレーイン2戦目でヒートに敗れることになったが、1年前は終盤まで接戦が続いて最後に振り切られた。今回はジミー・バトラー不在のヒートに完膚なきまでに打ち負かされ、チームが後退していることを突き付けられた。

地元メディアは何年も前から不甲斐ないブルズに愛想を尽かしており、ファンも同様だ。選手にも悲壮感がある。コービー・ホワイトは「あと一歩のところで届かなかったけど、プレーインに来ること自体が間違っている」と言い、こう続けた。「ヒート・カルチャーという言葉には理由がある」

ヘッドコーチのビリー・ドノバンは「我々が望む結果は得られなかったが、選手たちの戦いぶりに感謝し、尊敬している。欠けているものはあっても、戦う姿勢は本当に良かった」と言い、アルトゥラス・カルニショバス運営部代表は「5勝14敗とスタートは悪かったが、その後の勝率は5割より上だった。ケガに阻まれたが、このチームにはポテンシャルがある」と語った。

カルニショバス運営部代表は2シーズン全休のロンゾ・ボールについて「数カ月様子を見て、回復するのを待ちたい」と語った。指揮官ドノバンについても、今回プレーオフを逃せば更迭と騒いだ地元メディアをたしなめるように「我々には彼が必要だ」と断言した。ブルズが長い低迷から抜け出すために、まず手を付けるべきところを検討さえしない。その彼はこう言う。「ケガさえなければ、我々の計画は上手くいっていた」

フロントとチームのトップの言葉は、ヒートにあってブルズにはない『カルチャー』が何なのかを端的に示している。彼らはここ何年も、結果が出ていないにもかかわらずチームの刷新を割けてきた。ケガという不運がなければプレーオフで勝ち進めるかもしれないが、それはどのチームにも言えること。お互い全員健康な状態だったと仮定して、セルティックスに、バックスに、セブンティシクサーズに、そしてジミー・バトラーのいるヒートに勝てると彼らは考えているのだろうか?

ヒートに敗れてシーズン終了が決まった直後、デマー・デローザンは憔悴した様子を隠せなかった。「長いシーズンで波が大きく、フラストレーションを感じることも多かった。ケガ人が出てローテーションが変わる、そんな悪運が何度もやって来た中で屈しなかった。ケガ人が出たことを言い訳にせず戦い続けたんだ」

デローザンはこのオフにフリーエージェントとなる。フロントは彼との再契約を望んでいるが、彼自身はどう考えているのだろうか。それを問われた彼は「まだ感情が揺れ動いているから、心を落ち着けてから冷静に考えるよ。衝動的な発言をするのは避けたい」と自重しようとしたが、結局は言葉を選びながら溢れ出る感情を口にした。

「高みを目指して進んでいたところを叩き落され、一番下から山を見上げて、またすべてやり直し。次はどうやるべきか、良い方法を見つけ出さなきゃいけない。長いオフになるだろうね。結局のところ、僕は負けるのが嫌いだし、チャンスを逃すのも嫌なんだ。次がキャリア16年目、ずっとプレーし続けられるわけじゃない。チャンスがあるうちに全力を尽くしたい。僕は勝ちたい。プレーオフのファーストラウンドやセカンドラウンドを眺めるのは嫌なんだよ。もう若くないけど、年齢を理由に何かができなくなったとは思わない。毎年夏にそうするように、このオフも次のシーズンに向けてハードワークするつもりだ。どんな挑戦であれ受け入れる覚悟がある」

再契約を視野に入れた場合、ブルズに何を求めるか。その質問にデローザンは「競争力」と答えた。「僕が来た最初のシーズン(2021-22シーズン)にはすべての戦力が揃っていた。強豪と競い合う力のあるチームをコートに送り出してほしい」

フロントには勝つために必要な真剣さと必死さが足りず、同じミスを何度も繰り返す。その彼らを更迭しないオーナーにも問題がある。デローザンの決断はそれほど難しいものにはならないだろう。